久しぶりの休日だ。私は公園に行くことにした。確かにカップルや家族連れが多いのは知っている。しかし,それ以上に絵が描きたいのだ。無性に絵が描きたい。
スケッチブックと色鉛筆,お弁当を準備し,家を出る。今日もお日様が元気に仕事をしていた。少し仕事のし過ぎかも……
公園に着くと,やはり大勢の人で賑わっていた。そしてツツジが満開だ。幸せ者たちは皆,じゃがいもだと思うことにした。なんとなく……
私は無我夢中で描いた。美しいツツジを…
どのくらい時間が経っただろう。周りのじゃがいもがお弁当を広げ始めていた。私もおにぎりを口にする。我ながらにして上手く描けたと思った。
ふと横に置いたスケッチブックを見る…………スケッチブックが…無い?!私は驚きのあまり立ち上がってしまった。横にいたのはスケッチブックではなく,イケメンのじゃがいもだったのだ……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!