私が天上天下唯我独尊男と出会ったのは小学六年生の時だった
私の学校では当たり前のように彼は有名でそれに加え恐れられていた
小学校5年間彼とクラスはダブることはなくそれなりに安全に暮らしていたが6年生になり初めて同クラになった
私のクラスは席替え無しの名前順の席順だそのため必然的に佐野の隣になる
隣になって分かったことがある。彼は給食の時間にしか起きないということ
そして給食を食べたらまた睡魔に襲われ寝てしまうこと
まるで赤ちゃんのようだった
ある日日直で周りよりも下校が遅くなった時、日誌を返して教室に戻ると佐野が居た
すやすやと眠る顔はなにか切なくて儚くて触ったら消えてしまいそうなようだった
もうすぐ最終下校時刻すぎちゃうし起こした方がいいかなと思い初めて声をかけてみる
『佐野く〜ん』
一言声をかけたところで起きるわけなかった
これは中々手強いぞ。。
______佐野くんを起こし始めて10分が経過した
もうこれはほっぺを抓るしかない。
ぷにぷにのほっぺを抓り『おきろ〜』と呼びかける
「っ、いってぇな。」
『やっと起きた。』
「誰、オマエ」
『君の隣の席の榊あなた。最終下校時刻過ぎちゃうから起こしてるのに起きないからほっぺ抓った』
「俺の事怖くねぇの?」
『え?全然』
そう言うとそっかと微笑む佐野くん
こんな顔初めて見た
これが初めて佐野と喋った日
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!