第10話

EIGHT
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2021/08/07 06:50
それからというもの佐野とはよく話すようになり呼び方も佐野から万次郎へと変わっていった




私が万次郎と話すようになってから【マイキーは怖い人ではない】という定着が着いてきて影で万次郎のことが好きだった女の子たちは万次郎に話しかけるようになった



万次郎は女の子たちに話しかけられても基本フル無視そしてずっと私にくっついている状態



それを気に入らない女の子も当たり前のように居て


ある日私は放課後呼び出された


「ねぇ、あんたみたいな陰キャが万次郎くんと仲良くなっていいと思ってんの?」

彼女は学年でも可愛いで有名な叶愛ちゃん


相手にするのもめんどくさかった私は適当に相槌を打つ


「適当に返してんじゃないわよ!!」


私の髪の毛を掴みビンタをしてくる


私がまだ餓鬼ならここでやり返していただろうけど
叶愛ちゃんの可愛い顔に傷は付けたくなかったためやられるだけやられておいた

何も言わないなにもやり返さない私が気に入らないのか遂にカッターを出してくる


「あんたみたいなやつ死ねばいいのよ」


そう言って私の腹部にカッターを刺そうとする


その瞬間だった_______


万「てめぇなにやってんだよ」


教室で爆睡していたであろう万次郎が助けに来てくれたのだ


「ちが...私も万次郎くんと仲良くしたいってあなたにゆったら暴力振ってきたの」


目に涙を貯めながらそういう彼女に万次郎は「ふざけんじゃねぇよ」と殴ろうとする


ここで殴ってしまったら先生にもみんなにもまた悪い印象を与えてしまう。


頬に拳が当たる寸前に万次郎の腕を止めることが出来た


万「離せよあなた。こいつ殴らねぇと気がすまねぇ」


『だめだよ、万次郎。わたしの為なんかに手を汚さないで』


そう言って宥めると渋々腕を停めてくれた


叶愛ちゃんは大号泣しながら「万次郎くん!あなたちゃんが悪いのよ!!」とずっと言い張っている


万「俺に喋りかけていいのも俺の名前を呼んでいいのもあなただけだから」



そう言い捨て私の腕を引いてその場から離れていく


叶愛ちゃんには少し気の毒だがまあ仕方がない



案の定あの事件の後先生に事情聴取をされた


「佐野がまたやったんだろ?怪我してないか?」

またか...という顔で私を心配してくる


『いや、万次郎はいじめられてる私を助けてくれました。あと万次郎は一方的には喧嘩は吹っかけませんよ。今までの喧嘩も友達を思っての喧嘩です。彼は私にとって”ヒーロー”なんです』


「お、おおそうか...」

私がここまで感情的になるのは初めてなので先生も驚いたようだ


呼び出しが終わり階段を下ろうとすると


万「お前のヒーローになれてよかったよ」


そう微笑みながら私を通り過ぎた


私はこの頃から万次郎が好きだったのかもしれない










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