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第1話

(社会的に)死にました。
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2020/07/04 14:35
ターコイズ
ターコイズ
エーデル・フィリア・ハッシュベルト。
貴様は我が愛するフローレンスに様々な悪事を働いた。
よって、婚約破棄と貴族社会の追放、爵位の剥奪、そしてヨナカの森での永住を科す!
エーデル・フィリア・ハッシュベルト
エーデル・フィリア・ハッシュベルト
この身を持って償います。国の太陽、ターコイズ皇子。
……ってちょっと待った、科される罰が多すぎじゃありませんこと??!!!
フローレンス
フローレンス
ふぇっ…ターコイズ様…。
フィリア様が怖いです……。
ターコイズ
ターコイズ
フローレンスが怯えているじゃないか。
急に大きな声を出すな!
フローレンスの目に触れない場所で暮らせ。王命だ。
エーデル・フィリア・ハッシュベルト
エーデル・フィリア・ハッシュベルト
理不尽極まりないですわ…。
 まだ、陛下にもなってない、ひよっこ皇子ターコイズとゆるふわ策士フローレンスの身勝手によって、わたくしのゴージャス貴族生活は幕を閉じたのだった。

 まあ、わたくしもこの地位を守るためにフローレンスに色々仕掛けたのだけど。
それをターコイズに罪を盛りに盛られ、罰もこんもり受けることとなってしまった。

 やはり、フローレンスのお気に入りの鞄の中にカエルを入れたのはマズかっただろうか。
でも仕返しにあっちは化粧箱にヘビを仕込んできたのだからおあいこ、むしろこちらの方が被害を被っている気がするが。

フローレンスはつよかった。
無害でかわいい顔をしているが、実際「やられたらやりかえす」タイプだったのだ。
これが平民であったから尚更驚きだ。
平民から皇子の愛人、そしてたった今婚約者のフィリアも排除し、現在皇女序列1位にのし上がった。

このように、一方的で無茶苦茶な王命により、わたくしエーデル・フィリア・ハッシュベルトという人物の幕が閉じたのだった。
あまりにも、あっけない。
ターコイズ
ターコイズ
裁定は下された。
名もなきフィリアを追放せよ。
エーデル・フィリア・ハッシュベルト
エーデル・フィリア・ハッシュベルト
えっ…ちょっ…。
雑すぎません??!!
王国兵士たち
王国兵士たち
承知いたしました、皇子。
王国兵士たち
王国兵士たち
いくぞ。
エーデル・フィリア・ハッシュベルト
エーデル・フィリア・ハッシュベルト
ちょっとおおおおおおおお
両腕をガシッと掴まれ、足を引きずられるまま、兵士たちに連行されていった。

今までの努力が泡のようにぱちんと弾けていく気がした。
貴族では…なくなる。つまり、贅沢に過ごしていた日々は失うし、お父様、お母様にもお兄様にも会えなくなる…。

そして、1人であの静かで暗い森であるヨナカの森で過ごす、と。

ただのフィリア
ただのフィリア
………。
こうして、エーデル・フィリア・ハッシュベルトは社会的に抹殺され、わたくしはただのフィリアになりました。

目の前が真っ暗になりました。

ーつづく。ー


【次回予告】
ハッシュベルト家の愛の支援!
そして、天然毒舌メイド登場!
お楽しみに。

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