私は怒鳴るようにいった。
なんでかって?
図星だったからだ。
だからあんな言葉しか言えない。
自分のことばかり。
そういって、榎本は立ち去った。
私最低___
放課後私は忘れ物をして、教室に戻った。
そこには彩葉がいた。
ずっと1人で机に書かれた落書きを消していた。
彩葉は髪が長かった。
肩よりも下ぐらい。
だから私じゃなかったら気づかなかったかもしれない。
彩葉が泣いてることを。
孤独で誰にも相談できなくて。
でもいつも笑顔でこんなことがあっても泣かなくて、毎日登校している。
そんな彩葉が泣いている。
机にポタポタと落ちる涙を見た瞬間私は思った。
初めてだった。
こんな気持ちになるの。
いつも、私を一番に考えていた。
彩葉を救いたいでも自分が大事だった。
でも今回は違う。
自分のことはどうだっていい。
彩葉の笑顔を取り戻したい。
その一心だった。
私は走って家に帰った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。