第19話

Ep.19
589
2022/01/12 12:09
お母さん
お母さん
いつも悪いわねぇ。
この頃お父さんも腰が悪くて、電球も変えられないのよ。
(なまえ)
あなた
いーよ、これくらい私がやるよ
あれからだいぶ時間が経った。
両親の髪にはだいぶ白髪が増えてきて、私は"女の子"と呼ぶには大人すぎる年齢になった。




公園でマサヤくんと話したのを最後に、それから会うことはなかった。



私は違約金を払うために必死に働き、
必死に働いている時間は悲しさを紛らわす事ができた。



地元の小さな小料理屋の調理から始まり、たまたま店に来たお客様にスカウトされ、雇われ店長になり、そして自分のお店を出すまでになった。


時間は悲しみを薄めてくれたけど、マサヤくんを忘れた日は無い。



人生で一度は忘れられない恋愛をすると言うけど、
間違いなくその一度が、マサヤくんだ。



(なまえ)
あなた
じゃあ、そろそろ帰るね
お母さん
お母さん
また帰ってきなさいね



違約金も払い終え、今は実家を出ている。


実家の隣の家から、子供たちの笑い声がする。
懐かしい、宿舎だった家。


今は、私と同じ年くらいの夫婦が子供2人と住んでいる。








(なまえ)
あなた
ただいま~
ポチ
ポチ
ワン!
(なまえ)
あなた
ポチ~
いい子に待ってたの~
よしよし
ポチ
ポチ
ワン!
今は、実家からそれほど離れていない、マンションに住んでいる。

ここが私の家。

最近犬も飼い始めた。



名前はポチ。

誕生日に両親がプレゼントしてくれた。


子供の時はどんなに欲しがっても飼ってくれなかったのに。




































マサヤ
マサヤ
あなた、おかえり
(なまえ)
あなた
ただいま~







私が必死に働いている間、マサヤくんも必死に頑張っていた。


大人たちが文句も言えないくらいに。





そして、何年も経った初雪の降る日、
マサヤくんは私の前に現れた。


「僕と付き合ってくれますか?」



私の気持ちを知ってるわけなんてないのに、ずっと想い続けていてくれて、この言葉をくれた。






マサヤ
マサヤ
お腹空いたー!
ご飯行こっか
(なまえ)
あなた
行こう!
何食べよっか




いま






私のとなりにはマサヤくんがいます。





これからも




ずっと。







〜fin〜