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第1話

迎えに行くから
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2019/02/03 15:42 更新
「あなた、僕、引っ越すことになったんだ」

それはあまりにも唐突なことで、私からしてみれば青天の霹靂なんて言葉では済ませない話だった。

「引越し……?」

「うん、だからもうあなたには会えなくなっちゃうんだ」

「…やだ、私、はるくんがいなきゃ…」

「大丈夫だよ」

「でも」

「僕、高校生になったらあなたのこと迎えに行くから。絶対に迎えに行くから」

私ははるくんのそんな真剣な目を見た事がなくて、今でもよく覚えている。

「はるくん、私待ってるから」

「うん、大好きだよ、あなた」

その時のはるくんの笑顔だって、仕草だって、体温だって、全部全部覚えていて。

その後に触れた唇の感触だって、はるくんの赤らんだ顔だって、私しか知らないはずなのに。

ねぇ、はるくん。

「あなたは僕のお姫様だよ」

そう言って笑った日も

「バレンタイン、本命は僕?」

なんておどけて言っていた日も

「また明日ね」

って私に手を振った日も

私だけを見ていたはずなのに。

どうして、ねぇ、どうして?

「はるくん……っ」

溢れる涙が視界を歪めていく。

手元に落ちたスマートフォンはぼんやりと暗い室内を照らしていた。

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