第2話

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2019/02/02 13:20
そんな事が朝にあったから今日の授業なんか全然集中できなくて


この出来事を起こした本人のレミからも「顔が緩みすぎ」「気持ち悪い」の連呼だった


帰りのHRが終わって帰る支度をしていると担任から



「今日の日直お前だろ?
前に置いてあるノート、俺の机の上まで運んでくれるか?」



そう頼まれた


前まではめちゃくちゃめんどくさいし職員室が嫌いだから断ってたけど、
エイジがいるってなったら話は別



「はーい、了解でっす」



そう返事をしてちらっと横目でレミを見ると、
ニヤニヤしているレミと目が合った










「失礼しまーす」



意外と量があったノートを何とか両手で抱えるようにして持って職員室に入る


エイジを探すけど、
まだ自分のクラスにいるのかもう部活に行ってしまったのか分からないけど、
職員室にはいなかった


残念、帰る前に見たかったのに


とりあえずノートを担任の机の上に置いて職員室を出て、
待っていてくれたレミの元へ行く


2人で昇降口に向かっていると、
体育館に繋がる渡り廊下にエイジがいる事に気が付いた


レミもそれに気が付いて



「先に校門行ってる」



そう気を利かせてくれた



「ありがとう!」



そう言ってエイジに1歩ずつ近付いていくと、
近くに女の子がいるのが分かって慌てて柱の後ろに隠れた


盗み聞きみたいになっちゃうけど、
でもどうしても何を話しているかが気になった



「エイジ先生、私先生の事が1人の異性として好きなんです。
付き合ってください」



まさかの告白


そうだ、私とエイジは付き合っていても周りには知られないようにしてるからみんなエイジに彼女がいるなんて思ってないんだ


その場を離れたかったけど、
今動くと2人に気付かれてしまう


話が終わるまでその場にいなきゃいけなかった



『……うん、ありがとう。
でも気持ちには答えられない、ごめんね』



優しい声で女の子に伝えるエイジ


やめて、そんな声で他の女の子と話さないで



「学校にバレなきゃ付き合っててもいいでしょ?」



必死に訴えかける女の子


もう無理だ、見つかってもいいからこの場を離れよう


そう思って1歩踏み出した時



『言ってなかったけど………。
俺にはもう大切な人がいるから、その人しか見れないんだ』



そう言うエイジの声が聞こえた


その発言には女の子も驚いたようで、
何も言葉を発しない



『学校にはたくさんの女の子がいるし、女性の先生もたくさんいるけど。
みんなの事が考えられないくらい彼女の事が好きなんだ』



エイジがそう言うと、
女の子は嗚咽を堪えきれずに泣き出して私の横を通って走って行ってしまった


そんな事思ってくれてたんだ


嬉しくって、でもどこか寂しくて


涙を一筋だけ目からこぼしたら、
左腕をぐっと引かれてどこから見ても死角になる場所に連れて行かれる


もちろん私の手を掴んでいるのはエイジで


死角になる場所に着くと、
エイジに精一杯ぎゅっと抱き着いた


大好きな匂いに包まれる


エイジを見上げるとどうしても上目遣いになってしまう


こんな事、
あざとい女の子がやるから嫌いなんだけど



『その目、反則だろ。
……可愛すぎる』



エイジはそう言って少しかがんで私にキスした

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