エイジside
『はい、HRこれで終わりねー』
そう言うとガヤガヤしだす教室
やっぱり3年生だから今のうちに友達と話しとかないとなあって思うんだろうな
そんな事を思いながら教室を出て行こうとすると
「先生!」
と男子グループから呼び止められた
『ん、どーした?』
そう聞くと、
1人の男子が衝撃的な事を言った
「俺さ、1年のあなたちゃんに卒業式の時に告白しようと思うんだけどどう思う?」
は?あなたに?
少しだけ怒りがふつふつと湧き上がってくる
『好きなの?その、あなたさんの事』
「んー、気になるっていうか……。
だってあの子可愛くない?!結構狙ってる人多いらしいんだよね〜」
ほら、やっぱり
あなたは可愛いから他の男から狙われるんだ
この際彼氏がいるって公開した方がいいんだよ、くそっ!!
俺がそう1人で思っていると男子たちが廊下に走って行く
何だろうと思って俺も着いていくと、
そこにはあなたがいた
「あなたちゃんじゃん!」
「どーしたの?」
何しに来たんだよ、
3年生の階は来るなって言ってるだろ!
そんな思いは伝わらず、
あなたは俺を見つけると笑顔になった
「エイジ先生、教卓の上にノート置いておきました!
担当の子が早退しちゃったので一応伝えておこうと思って、それじゃ!」
それだけ言ってあなたは帰ろうとするけど、
男子たちに話しかけられて帰り道を塞がれているようだ
あなたに話しかけんなよまじで
付き合ってること言えないけど目の前に彼氏いるんだぞ?!
男は……これでどかせる
『あっ、あんな所に巨乳美女が!』
俺がそう言って窓の外を指さすと、
男子たちはあなたなんかそっちのけで窓の近くに走って行った
ったく、ちょろいな男ってもんは
目をぱちくりさせているあなたの手を引いて、
あの開かずの部屋へ2人で走る
『……ったく、何で3年生の階来てんだよ。
3年生にもモテてんだからあんまり来んな、ほんとに。
あなたは俺のだろ……』
そう言うとカァァッと赤くなる顔
最近あなたが俺以外を見ているんじゃないかと思って不安になる
なあ、あなた
俺以外見んなよ
告白もされんな、指一本触れさせんな
あなたを愛してるから
そんな気持ちを込めて、
これまでにないくらいの強い力で抱きしめた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。