第12話

危機
1,209
2019/03/30 12:31
エイジside





旅行から帰るとテストで忙しい時期に入り、
あなたとも学校でしか顔を合わせない程度になった


でも毎晩LINEしてるし、
電話もしてるからまだ大丈夫


今日も朝早くに学校に着いて、
職員室に大きなあくびをしながら入った



『おはようございます』



他の先生たちはほぼいなくて、
いたのは校長先生と教頭先生のみ


だけど2人は俺を見つけると怒ったような顔をした


……いや、俺何かしたっけ


しばらく黙ったまま2人を交互に見ると



「エイジ先生、至急校長室まで」



そう校長先生が言って2人は去って行った


嫌な予感がする


慌てて2人に着いていき、
校長室に入って目でソファに座れと促される


2人の前のソファに座ると、
教頭先生が唐突に話を切り出した



「エイジ先生、昨日ある生徒からあなたと1年生のあなたは交際中だと聞いたのですが。
それは本当ですか、本当だったら問題ですよ」



……やっぱり


誰かにバレたのか、付き合ってることが


このまま嘘をついてやり過ごす事もできるけど、
俺はあなたの彼氏だから



『……はい、交際しています』



そう答えた


もうこの学校にはいられなくなる


教師を辞めるか、遠くの学校にとばされるか


どっちみちあなたが卒業するまではもう会えなくなるだろうな



「……生徒には上手くこちら側から説明しておきます。
エイジ先生には申し訳ありませんが、この学校から出て行ってもらわなければなりません。
1週間の自宅謹慎を命じます。
その間に私たちも他の学校で教師を募集している所がないか探してみますので、とりあえず今日はお帰りください」



教頭先生がそう説明する


1週間の自宅謹慎


その間にはもう俺が異動する先も決まって、
あなたには連絡がつかなくなる気がする


……仕方ない、黙っていることはいずれはどんな形であれバレるものだ



『……すみませんでした、失礼します』



何も口答えしない方がいい


俺はそう思って静かに校長室を出た


朝日が差し込む時間帯


あなたももう学校に来ているだろうか


……今じゃなくて、今日の夜会いに行こう


まだ開けてもいない鞄を持って、
職員室を後にした

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