第14話

2年
1,175
2019/04/27 09:50
目の前には両親がいて、
私の左隣にはエイジが座っている


私の家のダイニングテーブルを挟んで向かい合って座っている状況


長い長い沈黙が続く















『”……あなた?今どこにいる?”』



かかってきた電話に出ると、
エイジの低い声が聞こえた



「今高校の校門のとこ、これから家帰る」

『”やっぱりちゃんとあなたの両親には伝えておきたいから、これからあなたの家行く。
今日両親いらっしゃる?”』

「いるけど、それ本気?
絶対反対されるのに、それなら今誤魔化して私が高校卒業した時に付き合ってますって言えばいいじゃん!」

『”ダメ、とりあえず家行くから”』

「ちょ、エイ……」



すぐに電話は切られた


急いで家に帰ると、
家の前にはエイジの車が止まっていて、
玄関の前で赤髪のままスーツを着たエイジが立っていた















そして2人で家に入って今に至る


戸惑いを隠せないお母さん


何かを察したように黙るお父さん


これから先の未来が不安になっている私


そして私の愛しい人、エイジ


その沈黙を破ったのはエイジだった



『僕はあなたさんの高校に務めている教師のエイジと申します。
あなたさんとは、1年程前からお付き合いしていました。
卒業まで隠し通すつもりでしたが、先生方に見つかり、僕は1週間の自宅謹慎、あなたさんは1週間の停学を受けました。
本当にこんな形になってしまって申し訳ありません。
ですが僕は本気です、あなたさんの事が好きです。
お願いします、僕達の交際を認めて下さい。』



エイジはそう言って頭を下げる


サラサラの髪の毛からエイジの香りがふわっと漂い、
少しだけ涙ぐんだ



「本当にごめんなさい、お父さん、お母さん。
でも私も好きなの、大好きなの。
お願いします」



私も頭を下げた


どれくらい時間が経ったか分からない



「2人とも、顔を上げなさい」



お父さんの声でゆっくりと顔を上げた



「確かに、教師と生徒の交際はある。
でもそれは決して悪いことではないとお父さんは思うんだ。
好きになったのがたまたま教師で、年上だったというだけで、人は必ず誰かを好きになる。
あなたの場合はエイジくんだったというわけだ。
俺は2人の交際は認める、けどな、時期が時期だ。
連絡は取ってもいいが、この先は会うのを厳禁してもらいたい。
ちゃんと堂々とデートができるようになる時期までな」



お父さんはそう言った


つまり、これから先
私が高校を卒業するまでエイジと会うなということ


そんなの無理じゃん、できるわけ……



『はい、約束します。
あなたが高校を卒業する時にまた迎えに来ます』



エイジは力強くそう言った



「何で?!何でそんなこと言うの?!
卒業するまで2年あるんだよ?それまで会えないんだよ?!私はそんなの無理だから!信じらんない!」



涙が溢れて止まらない


認めてもらえたのは嬉しいけど、
2年も会えないなんてキツすぎるよ



「もう帰って!」



私はそう言うと
泣きながら自分の部屋にこもった

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