第85話

1本の電話
2,237
2020/08/01 08:32
藤井side

望が虹になってからまだ2日しか経ってない夕方。
携帯に望が入院していた病院から
電話がかかってきた。

あれ以来…あの病院には行ってない。俺は。
神ちゃんと淳太が着替え等を取りに行った
位しか行ってないらしい。


もう関わらないはずの所からの電話に
ちょっぴり驚きつつ慣れた手つきで
電話に出て右耳に当てた。
藤井流星
藤井流星
📱はい?藤井です。
📱「ご無沙汰しております。
小瀧望さんの担当をしておりました医師です。
730号室を掃除していたら小瀧さんの
私物が出てきたので渡したいのですが…
今から病院に来てもらうのは可能ですか?」
藤井流星
藤井流星
📱今行きます。どれ位の荷物ですか?
📱「底まで多くは無いです。
日記帳とアルバムと…短冊です。」


短冊…
飾ったままのやつかな…。
そしたらきっと俺らのもあるやつか…。

あれを1回でも望は見たんやろうか。

望の願いが書いた短冊は
これからどうするんやろう。

俺らの願いが書いた短冊は
これからどうするんやろう。

所詮、例えただの「紙」
でも俺らからしたら普通の「紙」ちゃうくて
一年に一回の行事で使ったものなんて
そんなん破棄はれてまうけど
俺はその「紙」を破棄したらあかん気がして

今すぐにでも取りに行きたくなった。
藤井流星
藤井流星
📱分かりました!今から行きます!
あの、短冊なんですけど
笹事全部下さい!
何があっても、1枚も笹も
捨てないでください!
📱「分かりました。そのままの形で
こちらでちゃんと保管しておきますので
病院に着いたら私の名前を受付で言ってください。」
藤井流星
藤井流星
📱分かりました!
本当にありがとうございます!
📱「いえいえ。ではお気を付けてお越しください。」
藤井流星
藤井流星
📱はい!失礼します。

あの短冊は唯一望と繋がっているものやと思った。

あの短冊ごとこの部屋のどこかに…
いや望がちゃんと見れる場所に置いておけば
望がちゃんと見守ってくれると思うから…。
藤井流星
藤井流星
お待たせ。望。
今から行くからな。




今から迎えに行くから
それまでちょっと遠い空で虹を架けてな?

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