望side
あれから数ヶ月が経ち
俺の体力も日に日に落ちていき
今では車椅子で過ごすのが当たり前になっている俺の人生。
正直リハビリも辛いため
なかなかやる気もない。
メンバーも忙しいのか、お見舞いも
連絡も少なくなってきた。
誰にも聞いていないだろうと思って
呟いた言葉は
ある人に聞かれてた。
俺の大好きな…
神ちゃんは俺のベットの近くにある
椅子に座り、しばらく沈黙が流れた。
俺から話せばいいのか
でも、何を話せばいいのか分からない。
しまいにはあんなこと言ってしまったから
神ちゃんを傷付けたに違いない。
沈黙を破ったのは
神ちゃんだった。
俺の生きてる意味を教えてくれた神ちゃん。
神ちゃんが行く前に
どうしても伝えなくちゃ…
俺の方が「ありがとう」って言わなきゃいけないのに…
俺の生きる意味を教えてくれた神ちゃん。
そんな人には
「ありがとう」じゃ足りない
やろうな。
俺もみんなの為に生きるよ。
ありがとう、神ちゃん。
俺の知ってる神ちゃんは
メンバー1真面目で奇抜でチビで
みんなのおかんで、負けず嫌いの
神ちゃんやけど
今日は
俺のことを大事に思ってくれてて
あえて俺のことを名前を出さずに
俺の存在を話してくれた
優しく真っ直ぐなお兄ちゃんの
神山智洋だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!