第68話

27歳初めての。
1,999
2020/07/02 12:11
神山side
朝10:00
昨日のんちゃんからの電話を思い出し
なるべく早く用意をして自分の車で
のんちゃんが入院している病院へ向かう。

小一時間経ったくらい
車を病院近くの駐車場に停め、病院へ向かった。

見慣れた看護師さんに挨拶しながら
のんちゃんの病室へと向かう。

のんちゃんのいる病室が見え扉を開ければ
まず見えてきたのは、
神山智洋
神山智洋
おはよう、のんちゃん。
気持ちよさそうに寝ているのんちゃん。
のんちゃんに繋がっている機械音が
一定のリズムで音を立てている。
それだけでまだのんちゃんは生きていると
実感出来た。

のんちゃんの方に近付き優しく頭を撫でる。
神山智洋
神山智洋
よう寝るな…。
小瀧望
小瀧望
んっ…?
神山智洋
神山智洋
起こしちゃった?のんちゃん?
小瀧望
小瀧望
神ちゃん…?
おはよぉ。
神山智洋
神山智洋
んふっ。おはよう。
来たで〜?
小瀧望
小瀧望
んふっ。
ふふふっ。
一段と甘えだすのんちゃん。俺を見た途端、
眠そうな目がより一層優しい瞳に変わり
大きな瞳が俺を映した。

頭を撫でていた手を今度はのんちゃんの手を
優しく握ればふふって優しく笑った。
小瀧望
小瀧望
神ちゃん…。
お誕生日おめでとう…。
1日遅れてごめん。
神山智洋
神山智洋
ええんよ。気にせんといて?
のんちゃんに祝ってもらえて
俺は嬉しいで?
小瀧望
小瀧望
…ずっと神ちゃんの誕生日祝いたい。
神山智洋
神山智洋
…‪…祝ってな?
俺ものんちゃんからおめでとうって
言われると、嬉しいねん。
小瀧望
小瀧望
始めて?
神山智洋
神山智洋
んっ?
小瀧望
小瀧望
…27歳になって
初めてメンバーに会った?
神山智洋
神山智洋
…おん。
初めてやで?
のんちゃんが初めて。
小瀧望
小瀧望
ふふっ。やった。
そう言うと中々動かせない体を起こそうと
頑張るのんちゃんを手伝えば
ベットの近くにある棚から
ラッピングされた大きな箱をベットの机の
上に置いた。
小瀧望
小瀧望
…プレゼント。
俺からの。
神山智洋
神山智洋
ありがとう。
大事にするな?
小瀧望
小瀧望
うん。
気に入ってくれたら嬉しいな。
神山智洋
神山智洋
開けてええ?
小瀧望
小瀧望
うん。
綺麗に丁寧に優しくラッピングを開き
紙袋を破り中から取り出すと
そこには俺の大好きなブランドのジャージと
かっこいいイヤフォンと帽子が入っていた。
神山智洋
神山智洋
こんなに沢山ええの?
小瀧望
小瀧望
神ちゃんやからええの。
神山智洋
神山智洋
嬉しいわ…。
今まで沢山メンバーや友達スタッフさんからも
誕生日プレゼントを貰った。

でもこんなに心が温まるプレゼントは
言ったらあかんと思うけど初めてやった。


俺が欲しいって言っていたのを
覚えていてくれたのんちゃん。
俺の好きな物をちゃんと覚えてくれている
のんちゃん。


来年もずっとずっと…その先も
俺が欲しいなぁって好きやなって言ったもの
これからももっと覚えといて欲しい。
そしてまたのんちゃんからプレゼントで貰いたい。

のんちゃんやから頼みたい、俺のわがまま。
小瀧望
小瀧望
神ちゃん…?
泣いてるで?
気が付けば頬を伝う涙。
慌てて涙を払ってのんちゃんの手を握る。
神山智洋
神山智洋
のんちゃん…
今幸せ?
俺は聞いてみたかった。
今本当に幸せなのか。

自分の誕生日を迎えることが厳しいと言われる中
のんちゃんはどんなに体が弱くなって言っても
こうやってメンバーの誕生日を忘れずに
祝ってくれるのんちゃん。
以前のんちゃんが風邪を引いてしまった時でも
鼻声で電話をしてくれたのを今でも覚えている。


いつか笑ってまたみんなの前で歌うと
再開すると決めたあの日から確実に
のんちゃんは弱っている。
それでも夢を諦めずずっと頑張っている
のんちゃん。

嫌という程テレビをつければ
のんちゃん以外の俺らがテレビの向こうで
ええじゃないか〜!って歌っていただろう。
必ずのんちゃんの立ち位置を開けながら…。
そんな姿をのんちゃんはどんな思いで
見ていたのだろうか。

悔しい、悲しい、辛い、焦り
もっともっともっとと
涙を流しては俺らが来ればニコッと笑って
溜め込んで押し込んで作り笑い。

迷惑をかけられないと
自分なりにブレーキかけて爆発して
弱音吐いて体も心も弱くなって…。
握りしめていた手をのんちゃんは強く握った。
ここで分かった。

のんちゃんは「幸せ」やってこと。
自分がどんな状況に陥ったって
「幸せ」やったってこと。
小瀧望
小瀧望
楽しいで?俺の人生。
だってまだまだやもん。
俺は幸せもんやで。
握りしめていた手のまんま
のんちゃんはそう言った。

のんちゃんならまだ上へ上へと行ける。
いや、のんちゃんだからやな。

どん底に落ちても
頑張れなくても
嫌になっても
情けなくても
ダサくても
怖くなっても


のんちゃんをジャニーズWESTが強くし、
ジャニーズWESTがのんちゃんを強くした。

その強さにきっと俺らも勇気を貰えただろう。


























それから2人で色々な話をして
のんちゃんがちょっと疲れたっぽいので
今日はお開きになった。


27歳になって初めて気がついたことが
沢山あった。

その中で必ず共通して言えるのは
小瀧望は最高のメンバーやってことやった。


いつか7人でまた笑って歌って
当たり前が戻るって信じて
俺は来た道を戻り車に乗って
ジャニーズWESTの曲をランダムに流した。



































俺はまだこの時知らなかった。
のんちゃんの本望の願いを…夢を。
それを知ったのは 7月7日の七夕やった。

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