濵田side
七夕が過ぎた普通の平日。
仕事終わりに一人で望に会いに行った。
俺らも望の部屋に飾ってある笹に
俺らも願い事を書いて飾った。
ジャニーズWESTの事を書いている人や
夢に語っている人や
望の事を書いている人もいた。
俺は全部書いた。
ただ、その短冊を望が見たかどうかは
分からない。
病院の至る所に飾っていた笹も
七夕が過ぎたため、全て片付けられていた。
望の部屋に飾っている笹も片付けられて
いるのか不安になりながら
望の部屋の扉を開けた。
今日もぐっすり寝ている望の頭を優しく撫で、
自分の荷物をベットの近くに置いて
カーテンを閉めようと窓の方に向かった時やった。
そこにはまだ俺らの短冊が飾ってあった。
そして、笹の近くには
望が書いたであろう白い紙に
「これは捨てないでください」と
書かれた紙が笹の近くに貼ってあった。
まだ見てないからなのか、
俺らがいない間に起きて見たのか、
それとも俺らに望の気持ちを託すために
ずっと置いているのか…。
どれでも構わない。
ただただ嬉しかった。
俺らの大切な短冊が飾ってあったのが
きっとこの短冊は七夕が過ぎでも
この願いだけが叶う気がして…。
嬉しかった。
俺が書いた短冊を手に取り
静かに読んでいた。
「望がまた笑顔になれますように」
「ジャニーズWEST、てっぺんとれますように」
「7人全員で夢が叶いますように」
もし、この短冊を望が呼んでいたら
どんな気持ちだっただろう。
俺の隣に飾ってある短冊は流星のもので
流星の思いが詰まった短冊を読んでいた。
「望がまた戻ってこれますように」
「望の隣にいられますように」
「この先ずっと7人でいられますように」
「ツインタワーがずっと続きますように」
「東京ドームで望の2人で何か歌いたい」
「東京ドームに望も一緒に立てられますように」
「望の辛い気持ちも全部はんぶんこ出来ますように」
流星の短冊を読んでいた時
後ろから小さくか細い声で俺の名前を呼んだ望。
俺は慌てて望の方に駆け寄り
ベットの近くの椅子に座った。
力が入らずふにゃと笑う望を見て
安心した俺がいた。
きっとメンバー全員久しぶりに見たかっだろう。
望が起きて俺らの目を見てちゃんと笑っている所。
望は病気になる前から元々体力なかったけど
病気になってからさらに体力が落ちた望。
たった一言喋るだけで、息が切れる望。
代わってやりたいと、何度思っただろう。
ゆっくり瞼を閉じる望の頭を優しく撫でると
望はまた瞼を開けた。
そう言って瞼を閉じてまた寝た望。
大好きって言いながら寝た望。
なぁ、変なこと想像してまうやん。
俺やって大好きやねんから…。
そんなドラマとか映画で見たことある
終わり方で寝るなって…。
頭を撫でてる手が好きって言っていた望
俺はこれくらいしか出来ない自分が何度も
腹が立った。
でも、これくらいしか出来ないものでも
望にとっては安心したり嬉しかったりするもので
どれもちゃんとやる意味があるんやなって
気がついた。
カーテンで隠れた短冊を元に直して
ちゃんとこの短冊が…俺らの思いが
全部全部叶うように、望に見えるように
向きを変えた。
俺らが会えない時、これを見て頑張って欲しい。
俺らはどこにいても1つやから。
この短冊で繋がってると思う。
心も、願いも、夢も、希望も。
何もかも。
俺らは置いていかへんから。
勝手にてっぺん取らないから。
だから、安心してな。
眠り続けている望に頭をまた撫でた。
俺の見間違いかも知らないが
ちょっとだけ微笑んだ望を見て
病室を後にした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。