第99話
雪に願いを
濵田side
ライブMC中。
有難いことに俺の誕生日と重なった今回のライブ。
プラス今回のツアーの最終日で…。
ファンの皆様とメンバー全員が俺のために
歌を歌ってくれてJrがケーキを持ってきてくれた。
Jrが持ってきてくれたケーキを見ると……。
ケーキのデザインは真ん中に笑顔の俺がいて
そのすぐ隣にあの懐かしい俺の大好きな…
笑顔の望が俺の誕生日を祝ってくれてた。
マイクを通さずにしげと会話していると
この誕生日ケーキがスクリーンに映し出され
ケーキを見た皆が涙を流していた。
去年までは7人で撮ってた誰かの誕生日の日。
でも今年は6人で撮る。
でもある意味、このケーキのお陰で7人か…。
写真も撮り終わり、MCも終わって
ライブ終盤。
俺はスタッフからギターを受け取りスタンバイ。
セトリの中にあるメドレーを取り入れた。
それは
「望に届けたいクリスマスソングメドレー」
望が居なくても冬が来て
当たり前やけどクリスマスも来る。
一気に楽しくなくなった今年の冬を
望のために楽しもうと流星筆頭で
メンバー全員望に届けたい歌を1曲歌うことに。
俺はもちろん、あの曲を選曲した。
前に歌う神ちゃんとしげの曲が終わり
次は俺の番。
スタッフさんからのキューを待っていたその時。
スタンバイ中のモニターには
お客さんがペンライトをピンク1色にしてくれた。
とても綺麗な色で驚いてた時
会場にはもう二度と聞けないはずの声が響いた。
大きなスクリーンに映し出された望は
一瞬だったけど俺の大好きな望やった。
笑顔もそのまんま
声もそのまんま
可愛らしい所もそのまんま…。
スタッフ
「黙っててごめんなさい。
…濵田さん以外のメンバーは知ってました。
折角なのでと神山さんがサプライズでって…。
一番一緒に居たからと……。
濵田さん、それでは行きますね。」
1人で歌うこと自体が初めてのこの曲。
1人で最後まで歌うこと自体が初めてのこの曲。
最初はホンマに良かったのかなって思ったけど
今日歌う意味があると思うから
今日一番心を込めて歌わな…。
空は違うけど望に届けたい。
望から誕生日プレゼント貰うんやから
俺からはクリスマスプレゼントとして
貰って欲しい。
スライド式のセットにより
会場に出れば目の前はピンク色のペンライトが
俺を照らしてくれた。
ギターを確認して音を弾き始めた。
スクリーンには「なうぇすと」の映像と
俺の携帯に入っていた俺だけが知っている
望のプライベートの写真を使って
ホンマに、望だけのスペシャルライブを演出した。
望のハモリを流してもらったりもした…。
俺を照らした照明が消えるのと同時に
俺の目から涙が溢れた。
……なんだか優しい記憶が僕の涙誘った。
ライブも全て終わり今回のツアーも無事に終わった。
舞台からはけた俺らはケーキを食べたり
写真も沢山とって幸せな一日になった。
そして…
2020年12月19日の夜に
俺らが写真を沢山撮ってワイワイしている時の
外の街で関東では初めての初雪を観測した。
望からの誕生日プレゼントってこれかな。
これやったら、ええな。
でも、この時はまだ俺は知らなかった。
…いや、俺たちは知らなかった。
これから訪れるクリスマスに
俺たちにとったら最高と言えるような
そんなクリスマスプレゼントが待ってることに…。