濵田side
望と一緒に飲み物を買うため
自動販売機に向かってる。
まぁ俺らに「沈黙」って言うのはない
なぜなら…?
こういうこと。
まぁ、可愛ええから許してしまうねん。
俺、望に甘いなぁ。笑
今日はって言うか
さっきやな
訂正しようと思ったら…
ホンマに
BIG BABY やな。
あと何年でこの笑顔に会えないんやろう。
あと何年でこの言葉を言われなくなるんやろう。
「濱ちゃん、好きや〜」
まだ言ってくれるよな…
俺も好きやで。望
だからさぁ、離れんなや?
なんて思いながら微笑んだ。
でも多分きっと上手く微笑んでないと思う。
きっと不細工やな。
歩いていると
自動販売機に着いて
望に確認した。
どうせ望のことや
俺に奢ってもらうことが嬉しいはずやから
きっと高いものを選ぶに決まってる。
例えば、この炭酸とかな…
ほらな
当たった!笑
でもさ、
普通はちょっと安めのを選ぶやん!
今の望には何を言っても聞かんやろうから
俺は望のリクエストの炭酸を買ってあげた。
俺の分も買って、
((あ、俺はお茶やで?笑笑
元来た道を歩いていると
ドン!
あの時と同じ様に
派手に望が転んだ。
結構な音で…
心配で慌てて望の所に行って
望の前にしゃがんだ。
その一言を言った時の望の顔は
忘れられない。
望の前にしゃがみ、
望に向かって手を差し出した。
俺の差し出した手に甘え掴み
立とうとした時、
俺の手の上に乗っている望の手は
驚くほど力が入らずにいた。
望の体は、もしかしたら
俺が思っている以上…いや、
調べたもの以上に進行が早いのかもしれない。
なんで、望なんやろう。
俺はなんて言えばいいのか
分からず、ただ名前を呼ぶことしか出来なかった。
でも、俺は決めた。
望を救えるのは、助けられるのは
今ここにいる俺しかいない。
俺は望を抱き上げた。
望の顔を見ると
望の今の気持ちが涙となって
頬を濡らしてた。
俺らが望の不安を取り除くから。
俺らが望を守るから。
なんて言えるわけないねんけど
望に届くと信じて、俺は言わなかった。
きっと、分かってくれると思うから。
今、望の不安を取り除けるために必要なのは
こうやって大丈夫やでって言って
望の背中を優しく撫でること。
そして…
落ち着くまで泣かせてあげること
望は強がって俺らの前では「大丈夫」って言うから
これからは望の「大丈夫」は危険信号やな。
大丈夫。
どこにもいかない。
置いてけへんよ。
こんな大事な、大切なメンバーを。
俺の前だけでもいい
こうやって甘えて欲しい
弱音吐いてもええねんで?
望はちょっとしょんぼりした顔になった…
あぁー
多分、
何顔赤くなっとんねん笑
ちょっとだけ
顔色が良くなった望を見れて
嬉しかった。
10年後、20年後も
俺らのそばに居てな?
同じ景色見よな。
同じ空の下で。
俺、なんだかんだ言って
望のこと、大好きやから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。