神山side
一瞬やった。
目の前で突然のんちゃんが心臓抑えて苦しみだした。
隣にいた俺は何もできひんかった。
兄組やしげ達が率先してナースコール押したり
声掛けたりしてる。
俺は何すればええのか分からなくて
ずっと目の前のことをただひたすらに見ていた。
そしたら、突然のんちゃんが俺の服を強く
引っ張った。
そしたらそのままのんちゃんは意識飛ばしてもうて
慌てて入ってきた先生たちは
一旦、外で待っててくださいと言って
俺らも先生信じて廊下で待っとった。
それからどれくらい経ったやろうか…。
廊下に出ている俺らは沈黙が続いていて
暗く寂しく静寂に包まれていた。
その静寂を破ったのは
のんちゃんの病室のドアが開いた音やった。
中から出てきた先生が深刻な顔で口を開いた。
それは誰もが現実逃避したくなるような
簡単に言ったら 聞きたくない、信じたくない
ような内容で
誰もが生きている心地がしなかった
のんちゃんの誕生日の前日やった。
要らんよ?こんな…変な「プレゼント」
先生 「明日持つかどうかです。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!