第89話
24時間テレビ
重岡side
24時間テレビリハーサル中。
羽鳥さん「続いては、こちらです。重岡さん。」
…小瀧?見てるか?
お前の夢、ちょっと違った意味では叶ったぞ。
こんなんなら、叶ったことの1つには入らんか。笑
軽いVTRを見ている時
あぁ、こんなんあったなとか
そんなんあったっけなど
俺自身が忘れかけていた部分や
記憶に残っている輝きのひとつが
また鮮明にまた思い出す。
どんな景色も どんな場面でも
このVTRでも どれも映っているのは
小瀧望がちゃんと俺らの周りで生きていた事と
小瀧望がちゃんと俺らの周りで笑っていた事で…。
VTRが終わりになると同時に
隣にいた北山くんが涙を堪えて耳元でこう言った。
北山 「小瀧は愛されてたな。」
北山くんの方を見ると
涙が溜まっている目はキリッとしていて
心からの本心だということがその目を見れば
すぐにわかった。
そう言うと俺の右肩が誰かに優しく叩かれた。
誰かを確認するため振り返ると井ノ原くんだった。
井ノ原「北山が泣いているのが物語ってる。
俺もあんまり、ちゃんとは関わったことないけどさ…。スタッフさんからもよく小瀧くんの事聞いてたよ。彼はすごい。素敵な人だって。」
井ノ原「うん。素晴らしいメンバーだね。」
井ノ原くんが俺に聞こえるように言い告げたら
羽鳥さん達の質問に答えていた。
今思えば、井ノ原くんは
素晴らしいメンバーだねと言ってくれた。
「だったね」ではなくて「だね」と。
しょうもないかも知らんけど
その言葉だけでまだ俺らの中には小瀧が居ると思わせるような言葉で凄く嬉しかった。
関わったことがあまりなくても
こうやって先輩方からも褒めてもらった。
よかったな?小瀧。
お前の努力、無駄やなかったで。
もしかしたらこの先ずっと
無駄やないと思うで。
まだ1人であのVTRの余韻に浸ってる中
1人のスタッフさんに声をかけれた。
スタッフ「全然大丈夫です。あの1つ僕らからお願い事があるのですが…。よろしいですか?」
リハーサルも終わって今は家。
あのスタッフさんの言葉が中々消えなかった。
スタッフ
「…歌ってくれませんか?ジャニーズWESTで。」
もし、分かりました。と二つ返事で返したら
そこで初めて新しいジャニーズWESTが始まる。
初めて小瀧が居なくなってからのパフォーマンス。
これから先ずっと6人でのパフォーマンスなのに
何故か最初のステージが24時間テレビだと言うことに
正直…いや、結構やられてる。
他にもあるんちゃうかと悩んでしまう。
6人での再出発に相応しい場所があるんちゃうかと。
頭もパンパンになった俺はメンバーに電話を
することにした。