第8話

記憶-another story-
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2019/06/22 15:37
~シルクside~
朝、目が覚めると
昨日までの記憶が無くなっていた。
そんな突然おとぎ話みたいなこと起こるわけない。
でも実際は起きてしまった。
自分の名前は覚えている。
それ以外のことはからっきし。
リビングへ行くとたくさんの機材が置いてあった。
カメラが何台もあり、パソコンが1台置いてある。
それから、額縁に入った『何か』。
シ「…なんだこれ」
その『何か』を手に取る。
ひびが入っていたり真っ二つになっていたり。
それを見ていると、なんだか悲しくなってきた。
きっと大切なものを『落としてしまった』んだろう。
そう思って机に置いた。
部屋を散策していると
覚えのないものが沢山出てきた。
マネキンや狼男、たくさんのロバのぬいぐるみ
他にもいろんなおもちゃがいっぱい出てきた。
シ「何これ…」
どれもこれも20歳の大人が持つような物ではない。
以前の俺は何をしていたのだろう。
きっともう使うことは無い。
部屋も散らかっている。
『いらない物』は処分しよう。
そう考えて、ゴミ袋を用意し
手当り次第に捨てていく。
しばらくするとインターホンが鳴った。
外を見てみると男性が1人立っていた。
でも何故だろう。
会いたくなかった。
記憶も無いまま人に会うのも怖いし
居留守を使おうとした。
しかし、インターホンは鳴り止まなかった。
何度も何度も連打されて、少しムカついた。
気づかなかった振りしてどこかへ行こう。
無理があるかもしれないが、それしか無かった。
扉を開けて外へ出る。
「あ、おい!どこ行くんだよ!」
案の定、止められた。
シ「…え、誰ですか?」
「は?」
この人と話すと胸が苦しくなる。
謎の苛立ちと知らない人から話しかけられる焦り
俺は正直、怖かった。
「俺の事覚えてないのか?」
シ「えっと…どこかでお会いしましたか?」
「自分の名前言えるか?!」
なんでこの人はこんなに必死なのだろう。
おそらく、記憶がある時の知り合いなんだろうな。
シ「えっと…絹張と言います。」
でも、『知り合い』なら尚更
なんでいらついてんだろ。
…分からない。
とにかく、今はこの場を離れたかった。
すると
「…っ、くそ!」
シ「‪Σ( ˙꒳​˙ ;)ビク‬」
急な大声に驚いた。
……大丈夫かな。
シ「えっと…大丈夫ですか?」
なんでこの人までイラついてんだよ。
わかんないけど、なんだろ…
話を聞いてあげたくなるというか。
「…すみません。俺、マサイって言います!」
シ「え、あ、どうも」
マサイ…ハーフかな。顔整ってんな。
マ「急に来てすみませんでした。あの、また来ますね」
そういってマサイさんは帰って行った。
…なんだったんだよ。

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