第10話

兄貴
1,499
2019/08/23 02:00
~シルクside~
家を出てから俺は別に行きたい所もなくただ
散歩していた。
近所の人や街並み、どこに何がある
全部覚えてる。
なのに…さっき会った人や部屋にあったもの
それが全然思い出せない。
兄「よう、ちび」
公園で座っていると俺の兄がいた。
シ「あ、兄貴」
兄「今日はあいつらと一緒じゃねーのか」
あいつら?
兄「あれ?お前今日フィッシャーズパーク行くって言ってなかったか?」
フィッシャーズパーク??
兄貴が言ってることが何一つ理解できない。
シ「兄貴…何言ってんの?てか、何それ?」
兄「……は?」
兄貴は目を見開いて驚いた。
え、俺…何か言った?
分からないから聞いただけなんだけど…。
兄「おい、ちび…あ!そか、ドッキリだな」
え……
何で。
シ「待って待って!何が?!そもそも、あいつらって誰だよ、あとフィッシャーズパークって何?!」
俺が必死に否定すると
兄貴はドッキリじゃないと気づいたらしく。
兄「おいちび、自分が誰かは分かるか?」
シ「?絹張…諒」
兄「家族構成」
シ「母さん、父さん、兄貴、俺の4人」
兄「高校の名前」
シ「〇▲◽︎高校」
え、何で俺質問攻めされてんの
俺の質問は?!
シ「あ、兄貴…?」
兄「お前…ほぼ毎日一緒にいる奴ら覚えてるか?」
毎日一緒にいる人?
俺、誰かと一緒にいた?
だって俺、一人暮らしで…
あれ、俺、仕事何してたっけ?
兄「モトキ」
シ「え?」
兄「マサイ」
いきなり兄貴が人の名前?を言い始めた。
兄「ンダホ」
……人の名前?
兄「ダーマ」
え、どこの国の人
兄「ぺけたん」
待って!人の名前か?!
兄「ザカオ」
お…お、お?
やばい、何一つ分かんない。
兄「……覚えてないのか」
兄貴が悲しそうな顔をする。
え、俺そんなに分からんやつらといたの?
……あれ、マサイ?
マサイってさっきの人?
シ「なぁ兄貴、マサイ…さん?って背が高くて細くて手足長くてイケメンの人?」
兄「!!そう!ちびお前、マサイのこと覚えてんのか!」
シ「あ…いや、さっきその人が家に来たから。」
兄「話した?」
シ「いや、あんまり。何かさ会いたくなかった。外に出て少し話したけど、何もわかんないからすぐ別れた。」
兄「そう…あ、そういえばお前LINE消したのか?」
シ「え?」
自分の携帯を見てみると確かに消えていた。
シ「ほんとだ。何でだろ?今入れるわ」
そう言ってLINEを再インストールする。
開くと連絡先を知ってる人や前までの履歴が戻ってきた。
友達欄を見てみると、分からない人だらけだった。
その中でマサイ、モトキ、ンダホ、ダーマ、ぺけたん、ザカオの名前を見つけた。
会話の履歴は残っておらず、誰と何を話してたかなど全然分からない。
シ「なぁ兄貴…俺、病気なのかな」
兄「いや、多分一部の記憶障害だ。」
記憶障害…か。
兄「おいちび、携帯貸せ」
シ「え、はい」
兄貴に携帯を渡すと何か操作をしているらしい。
兄「ん、さんきゅ。行くぞ」
シ「え、どこに」
兄「アイツらのとこだよ。連絡は今した」
シ「……え」
LINEを見て見るとさっきの6人個人にメッセージが送られていた。
『兄クロードです。ちびが、記憶障害になったらしく、おまえらのこと覚えてないんだわ。でも、治したいみたいだし、何があったか俺も知りたいからお前ら全員ちびの家に来てくれ』
兄クロード?!
何それ?!
え、これって兄貴のことだよな。
ピロン
ぺ『シルク!LINE戻したんだね!分かりました!すぐ行きます!』
シルク????
誰それ
それから次々に了解のLINEが届いた。
シ「あ、兄貴…その、みんな了解って」
兄「おう、良かった」

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