第101話

🌧
3,061
2020/03/06 06:15
義勇
義勇
お前は『稀血』という
特別な血の持ち主だ
稀血…

あの鬼もずっと言ってた

何でも特別な血なんだって
義勇
義勇
その血は鬼の好物で
食べると力がより強力になる
自分の力欲しさの為に

村の皆を貪り尽くしたの…?
あなた

特別な血なんかじゃない
呪われた血だ…そのせいで皆…

義勇
義勇
……
あなた

それにこの目

起きてからずっと違和感があった

鏡を覗くと片目がうっすらと

赤色に染まっていた
あなた

この目、この血…
あの一晩で私は呪われた体になった

鏡に映る自分が怖い

この体に流れている血が憎い

そうやってこれから先

自分自身を憎んで生きていくしか道はない
義勇
義勇
そんな事はない
お前の目は綺麗だ
あなた

違う…
怒りで赤くなったこの目は汚い…

『あなたの目は綺麗だ』と村の皆が言ってくれた

私の自慢の青色の目

それなのに怒りで支配されその目はなくなった
義勇
義勇
お前の目は
どこまでも透き通っていて
光を灯した優しい目だ
どうしてこの人の言うことは

嘘じゃないって思うんだろう
義勇
義勇
それに『稀血』と言ったが
その血は今は亡き家族との
唯一の繋がりだ
そうだ…

この血は皆と繋がっている

私が大好きな家族…“雨宮家”の血だ
あなた

皆…っ

義勇
義勇
しかし“お前”呼ばわりは不便だな
そっか

まだ名前言ってなかったっけ

そんな回りくどい言い方しなくてもいいのに
あなた

名前は_

母さん、皆

私はこの名前に誇りをもって生きていくよ
あなた

雨宮あなた…です

“雨宮”を背負って

皆の未来の礎になる
NEXT_

プリ小説オーディオドラマ