第67話

師匠とデート3
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2023/05/14 03:00
そのあとしばらくみんなで会話をして楽しんだあと、私と師匠は2人お別れし、青木養護施設を出た。もちろん、「また来るね」と約束して。
乙音澪おとねみお
もうすっかり暗くなったわね。
私達が青木養護施設から出るともう日が沈みかけていた。
楠若葉くすのきわかば
まだ15時ぐらいだと思っていたんですけど…もう17時だとは…思っていたより喋りすぎていたみたいですね!
愛芽と愛翔と喋っていると話が尽きなくてこんな時間になってしまった…。
乙音澪おとねみお
えっと…この後まだ時間あるかしら?
楠若葉くすのきわかば
あ、はい!お母さんには遅くなると言っていますので!
師匠とデートということなので門限を引き伸ばしてもらっていたのだ。
乙音澪おとねみお
なら、ここからは2人で…で、デート?とやらをしようと思うのだけれど…
"デートとやら"って…。照れ屋さんだなぁ〜師匠は!ふふふっ、少し頬が赤くなってるし…。
楠若葉くすのきわかば
ふふ、師匠!やりましょう!"デートとやら"をね…、ふふっ
乙音澪おとねみお
か、からかっているわね…!もう、若葉ったら…。
師匠は少し私を睨む。これは怒っているのか、照れ隠しなのか…。
楠若葉くすのきわかば
えへへっ…まぁまぁ。さてさて!行きましょうよ師匠!
私はそう言って師匠の手を取って歩き出す。
乙音澪おとねみお
ふふふっ、えぇ!
そのあと私たちは商店街で食べ歩きをしたり、洋服屋さんを巡ったりとデートを楽しんだ。
楠若葉くすのきわかば
わぁ〜、真っ暗ですね〜!
ショッピングモールから出てきた私は手を大きく広げ、息を吸いながらそう言った。
乙音澪おとねみお
そうね。結構ショッピングモールに長居してしまったみたい。
師匠は頷きながらそう言った。
楠若葉くすのきわかば
服もこんなに買っちゃいました…。私のお小遣いぃぃ…
私は手に持っている服が入った紙袋を見てそう嘆く。
乙音澪おとねみお
私も今月は節約しないといけないわ…。
師匠は頬に手を当てて困ったように眉をひそめる。
楠若葉くすのきわかば
節約…?師匠ってもしかして一人暮らしなんですか?
乙音澪おとねみお
えぇ、そうよ。言っていなかったかしら?
楠若葉くすのきわかば
知らなかったです…。
今までそんな話したこと無かったからね…。また1つ師匠の事を知れて嬉しいな〜!
乙音澪おとねみお
さて、若葉。そろそろ行きましょうか。
師匠は歩きながらそう言って私の前に立つ。
楠若葉くすのきわかば
え?どこに…?
私かそう尋ねると師匠は振り返りながらこう言った。
乙音澪おとねみお
最後に…連れていきたいことろがあるの。
楠若葉くすのきわかば
す、すごい綺麗…!!
師匠が連れてきてくれたのは私たちが住んでいる街を一望できる丘だった。しかも今は日が沈んでいるため、街があかりでキラキラと輝いているように見てる。
乙音澪おとねみお
ふふふっ、でしょ?この景色、若葉に見せてあげたいと思っていたのよ。
楠若葉くすのきわかば
こんな素敵な場所今まで知らなかった…!連れてきてくれてありがとうございます!!
しかも、穴場スポットなのかこんな素敵な場所なのに人が私たち以外に誰もいない、貸切状態だ。
乙音澪おとねみお
私の姉が…姉さんが教えてくれたの。
楠若葉くすのきわかば
…!!師匠のお姉さんが…
乙音澪おとねみお
えぇ、だから…ここは私にとって思い出の場所なの…。
師匠はそう言うとゆっくりと目を閉じた。まるで師匠のお姉さんとの記憶を思い出すかのように。
乙音澪おとねみお
若葉、少し目を閉じていてくれる?
師匠は目を開けると私の方を見てそう言った。
楠若葉くすのきわかば
え、目を…ですか?わ、分かりました!
そう言って私は目を閉じる。な、何するんだろう…?ドキドキする…!すると、師匠は私の後ろに回って立ち止まる。目をつぶっていても人の動きがわかるようになってきたな…。そう思うことに集中して私はできるだけ師匠のことを考えないようにした。
楠若葉くすのきわかば
…!?
首元にひんやりとした感覚がするのと同時に師匠が「もういいわよ。」と言った。
楠若葉くすのきわかば
…ん?…わぁ!可愛い…!
首元を見るとそこには赤い宝石がキラキラと輝くネックレスがあった。
乙音澪おとねみお
私からのプレゼントよ、若葉。
楠若葉くすのきわかば
師匠からの…!
私は嬉しくなってネックレスをぎゅっ、と優しく握りしめる。
乙音澪おとねみお
ちなみにそのネックレス…
師匠はそこまで言って首元に手を当て、何かを取り出す。
乙音澪おとねみお
私とおそろいなのよ。私は紫色。
楠若葉くすのきわかば
師匠とお揃い…!!
師匠とお揃いのネックレスなんて嬉しすぎる…っ!!今すぐにでも叫びたい気分だ。
楠若葉くすのきわかば
ありがとうございます、師匠!大切にしますね!
乙音澪おとねみお
えぇ。若葉がそこまで喜んでくれるならプレゼントした甲斐かいがあったわ。
師匠はそう言って微笑んだ。すると突然後ろの草むらからガサガサと音がした。
???
ちょっと、押さないでよっ
???
いや、だって今いいとこじゃん!
???
ううぅ…重い…
ん?この声…
乙音澪おとねみお
はぁ…まだいたの…?
師匠も気づいたのか溜息ためいきをつきながらそう言った。
???
あはは〜バレちゃったんよ〜!
美琴さんがそう言うとみんなは草むらから出てきた。
九条渚くじょうなぎさ
陽菜が押したりするからバレちゃったじゃない…
如月陽菜きさらぎひな
うぅ…ごめんってば〜!
蒼乃麗華あおのれいか
苦しかった…
如月陽菜きさらぎひな
麗華もごめんよぉ!
陽菜は草むらから出てきた途端、皆から責められてる。まぁ確かにバレたのは陽菜が前のめりになったのが原因だけど…だけど───
楠若葉くすのきわかば
みんないつから居たの!?!?
私はそれが気になって仕方がない。
乙音澪おとねみお
最初からよ、若葉。
みんなの代わりに師匠が答えてくれた。ん?最初から…?
楠若葉くすのきわかば
う、嘘でしょ…!?
如月陽菜きさらぎひな
まじかー、気づかれてたかー!
陽菜は悔しそうにそう言いながら手を頭に当てた。
楠若葉くすのきわかば
どうして言ってくれなかったんですか!?
乙音澪おとねみお
言おうとは思っていたのだけれど…1度気配が消えたからもう居ないと思っていたのよ。
師匠は申し訳なさそうにそう言う。
九条渚くじょうなぎさ
それ、多分私たちが夜ご飯を食べに行ってた時だわ!
蒼乃麗華あおのれいか
美味しかった…オムライス…
師匠の言葉に納得している渚さんの隣で食べたオムライスを思い出したのか目をキラキラさせている麗華さん。か、可愛い…って違ううう!
楠若葉くすのきわかば
いやいや!そもそもどうして着いてきているんですか!!!
如月陽菜きさらぎひな
えー?気になったからに決まってんじゃんー!
九条渚くじょうなぎさ
気になったからよ!
柊美琴ひいらぎみこと
デートの偵察ってやつなんよ〜
蒼乃麗華あおのれいか
み、みんなが行くって言うから…っ
みんながそう口々に言う。
楠若葉くすのきわかば
そういう問題じゃなくて!!!
私はみんなに向かってそう叫ぶ。
乙音澪おとねみお
もっと注意深く見ておくべきだったわ…。ごめんなさい、若葉。
師匠はそう申し訳なさそうにそう言う。
楠若葉くすのきわかば
いやいや!師匠のせいじゃありませんよ!謝らないでください!!
如月陽菜きさらぎひな
そうそう!澪のせいじゃないってー!
陽菜はそう言いながら師匠の背中を軽く叩く。
楠若葉くすのきわかば
それ陽菜が言っちゃいけないからね!?
私がそう言うと師匠が困ったようにため息をついた。

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