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第50話

最後までほんと君らしい (最終話)
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2020/08/30 11:00
クリスマスの翌日
昨日まで愛花がいた病室はきれいに片付けられていた。
余命の一週間よりも短く旅立つなんて僕や周りの人は思わなかった。
愛花のお母さんや光里先輩、そして僕が泣き止むことはできなかった。
やっと落ち着いたのは、愛花が旅立ってから3日後だった。

ハルの家
ハル
ハル
今、お茶出しますね
光里
光里
うん、ありがとう
ハル
ハル
もう今年も終わりですね
光里
光里
そうだね、早いねぇ
ハル
ハル
愛花とも一緒に年を越したかったな
光里
光里
うん
ハル
ハル
このあと、光里先輩はどうしますか?
光里
光里
このあと?
光里
光里
このあとはバイト
ハル
ハル
あ、そうなんですか
光里
光里
うん、ハルくんは?
ハル
ハル
僕は、大学に行こうと思ってます
光里
光里
そっか
ハル
ハル
はい
ハル
ハル
今日も泊まりますか?
光里
光里
うん、お願い
ハル
ハル
わかりました。んじゃ、合鍵渡しときますね
光里
光里
ありがとう
ハル
ハル
それじゃ、行きましょうか
光里
光里
うん
ガチャン
光里
カランカラン
光里
光里
おはようございます
マスター
マスター
おはよう光里ちゃん
光里
光里
今日もよろしくです
マスター
マスター
うん
マスター
マスター
光里ちゃん、大丈夫かい?
光里
光里
はい、大丈夫です。ちゃんと切り替えますから
マスター
マスター
ならいいんだけどね、無理はしないでね
光里
光里
はい、ありがとうございます
ハル
大学、図書館
ハル
ハル
ここからだったなぁ、懐かしい
(回想)
愛花
愛花
ねぇ
ハル
ハル
ん?僕になにか
愛花
愛花
何してるの?
愛花
愛花
ここって図書館だよ?本読まないの?
ハル
ハル
そうだけど
愛花
愛花
本に興味ないと?
ハル
ハル
興味がなくきゃ来ちゃ駄目なんてことないだろ?
愛花
愛花
そうじゃないけど
ハル
ハル
もう1人にさせてもらえませんか
愛花
愛花
やだw君に決めたんだもんw
愛花
愛花
友達からでいいからさ
愛花
愛花
これからよろしく!
(回想終)
ハル
ハル
もう、あれから半年か…
ハル
ハル
色々あったね愛花
ハル
ハル
って、聞こえてるかな
愛花と出会った頃を思い出すハル
そして、あっという間に夜になっていた。
ハルの家
ハル
ハル
ただいまです
光里
光里
あっ、お帰り
光里
光里
遅かったね
ハル
ハル
思い出に浸ってたらこんな時間にw
光里
光里
そっかw
ハル
ハル
バイトはどうでしたか?
光里
光里
ん?いつも通りだよ?
ハル
ハル
そうですか
光里
光里
あっ、さっきわたしの携帯に愛花のお母さんから電話があって、初詣の日に会えないかって
ハル
ハル
初詣の日ですか?場所は
光里
光里
私達の働いてる喫茶店
ハル
ハル
わかりました
光里
光里
予定とか大丈夫?
ハル
ハル
はい
光里
光里
わかった、伝えとく
ハル
ハル
お願いします
光里
光里
うん、それじゃ夜ご飯にしようか
ハル
ハル
はい、最近夜ご飯作ってもらっちゃってすみません
光里
光里
ううん、いいのいいの。私が居座ってるんだもん、これくらいのことは当然だよ
そして、さらに3日後…1月1日
誰かと一緒にいなくちゃ今、精神が安定しない光里はずっとハルの家に住まわせてもらっていた。
ハル
ハル
明けましておめでとうございます
光里
光里
あけおめ
ハル
ハル
愛花のお母さんと会うのって何時でしたっけ
光里
光里
えっと、13時
ハル
ハル
13時。なら、それまでに神社にいけますね
光里
光里
そうだね
ハル
ハル
一緒に行きますか
光里
光里
うん
二人は神社へ向かう
神社
ハル
ハル
初詣って感じですね
光里
光里
いや、初詣だしw
ハル
ハル
そうなんですけどw
光里
光里
なにお願いする?
ハル
ハル
愛花のことと、愛花から渡されたこの手紙のことをお願いします
光里
光里
手紙?
ハル
ハル
はい
光里
光里
なんて書いてあるの?
ハル
ハル
まだ見てません。お願いするときに見ます
光里
光里
そっか
光里
光里
あっ、私たちの番になったよ
賽銭箱と鈴の前に立ち
2人は願いを伝える
ハルは手紙をとりだし、はじめて内容を知る。そして、その願いを神様に伝える。
愛花
愛花
ハルくんと光里が仲良く、これからもいれますように。そして、二人の未来が明るく幸せなものでありますように
ハルは涙を流しながら、愛花の願いを願った。
光里
光里
ハルくん
ハル
ハル
はい
光里
光里
私にも読ませて
ハル
ハル
わかりました
光里は手紙の内容をみて、涙目になりながらニコリとした。
光里
光里
愛花らしい
ハル
ハル
そうですねw愛花らしいですね
光里
光里
こんなの願わなくても私はハルくんとはこれからも友達でいるもんw
ハル
ハル
はははw
光里
光里
なによw
ハル
ハル
なんでもないですよw
ハル
ハル
ほら、そろそろ待ち合わせの時間ですよ
光里
光里
そうだね
そして、2人は愛花のお母さんが待つ喫茶店へ向かう
カランカラン
マスター
マスター
いらっしゃい
ハル
ハル
マスターこんにちは
光里
光里
あっ、お母さん
母親
母親
こんにちは
母親
母親
ごめんなさいね、新年早々
ハル
ハル
いえ、大丈夫です
母親
母親
そう、あのね、このあと愛花のお墓に行こうと思ってるの。それでね、2人とも来ない?
ハル
ハル
愛花の
光里
光里
お墓
ハル
ハル
行きます
光里
光里
行かせてください
母親
母親
そう言ってくれて嬉しいわ
母親
母親
マスター、ごちそうさま
マスター
マスター
うん、それじゃ大切なお友達に会ってきなさい
ハル
ハル
はい!
多真霊園
母親
母親
ここが、愛花の眠ってるお墓よ
ハル
ハル
ここが
そこには、きれいな新しいお墓があった。
ハル
ハル
愛花…
母親
母親
愛花はハルくんや光里ちゃんに会えてほんとに幸せだったと思うわ
光里
光里
そうなこと…
母親
母親
これからは毎日、愛花はここにいるわ。時間があったら会いに来てほしいの
ハル
ハル
もちろんです!
母親
母親
ありがとう
母親はお墓に手を当てて
母親
母親
愛花、ほんとにいいお友達と彼氏さんを作れたわね。貴方は幸せものよ
母親
母親
二人とも
光里
光里
はい
母親
母親
愛花とお話ししてくれないかしら
光里
光里
わかりました
ハル
ハル
はい
母親
母親
ありがとう
光里はお墓の前にしゃがみ
光里
光里
愛花、久しぶり。元気にしてた?
光里
光里
私は、あの日から沢山泣いちゃったw
光里
光里
でもね、ハルくんが側にいてくれてなんとか元に戻ったよ
光里
光里
愛花の願い、ちゃんと叶えるからね
光里
光里
また、時間があったら会いにくるから
光里は立ち上がり
光里
光里
はい、ハルくんの番だよ
ハル
ハル
はい
ハルはお墓の前にしゃがみ
ハル
ハル
愛花、元気にしていますか?
ハル
ハル
クリスマスの夜、早く行けなくてごめん
ハル
ハル
ほんとごめん
ハル
ハル
まだまだ、愛花とは色んなところに出かけたり、話したりしたかったなぁ
ハル
ハル
僕よりも先に行っちゃうなんて…
ハル
ハル
もう、愛花は……
ハル
ハル
愛花
ハル
ハル
愛花の笑顔はみんなを幸せにするんだよ?だから、天国でも、その笑顔でみんなを幸せにしてね
ハル
ハル
それと、僕たちのことを見守っていてください
ハル
ハル
…愛花、僕は君を忘れないよ。絶対に
愛花
愛花
…ハルくん、君の願い叶えてあげる!
愛花
愛花
天国から、ハルくんたちを見守ってるね
愛花
愛花
ハルくん、君と過ごした時間は宝物だよ!!
ハル
ハル
愛花
愛花
愛花
ハルくん
ハルと愛花
ハルと愛花
貴方のことを私は(僕は)愛してます
ハルが見上げた空は青く、明るい空だった
まるで、愛花が笑顔で見守っているかのように










【終】

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