第14話

文スト×織田作之助
913
2020/10/05 13:48
『え……。』



突然告げられた,最愛の人の死。



「本当なんだ。」

『……真逆。冗談ですよね,太宰さん?』

「厭,冗談なんかじゃない」

『そ…んな…』

「一覧の事件,知ってるかい?駐車場に停めてあった車が爆発したと云う」

『……』

「あなたさん?」

『…あ…は,い…』

「…其の車に乗っていたのは,織田作が良く世話をしていた孤児の子達だった」

『…サクラ…達…?』

「君が手に持っている其の袋……君は其の家に行こうとしていたんだね?」

『はい…久々に会うので…其処で待ち合わせをしていた…はず…』

「君も其処に行っていたら,君も死んでいた」

『そ…んな…』

「御免…止めれなかった。」

『……』



あなたさん…

私が誤っても,意味無いよね…。



『………そうですか』

「!」

『判りました。態々云いに来て下さったんですね,有難う御座いました』

「…」

『私はもう行きます。さようなら』



彼女は去ろうとした。



「………流石,織田作の彼女さんだ」

『っ…』

「心強い人だ。」

『…』

「そして織田作と同様…」

『…っ』



「____嘘が下手だ。」



そう云った瞬間,彼女は蹲み込んだ。



「あなたさん…⁉︎」

『…あ…御免なさい…一寸…』

「…」

『もう,大…丈夫…ですから』

「そんな訳無いでしょう?愛する人を突然失った。大丈夫な筈が無い。」

『っ…』

「大丈夫です。私の前では泣いても構いません,織田作もきっと,そう云ってくれています」

『っ…うっ…うわぁぁぁぁ‼︎‼︎』

「…。」



織田作…

君は彼の時,彼女の事を考えなかったのかい?



「………落ち着きましたか?」

『はッ…い…有難う…御座います』

「織田作は最後,貴女に此れを渡して欲しいと云ってきました」

『…箱…?』

「どうぞ。」



中を開けると…



『…っ…』

「!…」




二つ並べられた,銀色に光る

結婚指輪だった。




「…織田作もかなり酔う時も有りました。其の時は貴女の話ばっかりしてました。」

『…ッ…』

「"あなたは本当に可愛い奴なんだ","彼奴の作る伽喱は物凄く美味いんだ"って」

『…ヒック…』

「貴女の事を,本当に愛していたんだと思います」

『……莫迦だなぁ…織田さん…』

「え?」

『私,思うんです…。きっと…今日…云うつもりだったんだろうな…って…』

「…」

『………置いて行っちゃ…駄目じゃ無いですか…』

「…あなたさん…」

『…グスッ…はぁ…太宰さん,目の包帯取ったんですか…?』

「嗚呼…正確には,"取って貰った"ですがね」

『え…?』

「織田作に,最後に云われました。"人を救う側になれ"と。」

『……なら,太宰さんは…』

「はい。此処だけの秘密ですが,ポートマフィアを抜けようと思います」

『…御手伝い出来る事,有りますか?』

「そんな事したら,貴女にまで被害が出るじゃないですか」

『でも,織田さんが最後に"願った"事です。私も叶えたい』

「……なら,あなたさん。一つ御願いが有ります」

『何ですか…?』

「此れから私は,ポートマフィアを抜けてから職に着くまでかなりの時間が有る。其の時は必ず織田作の命日に御詣りに行ってあげて下さい」

『判りました。』

「其れから…」





「何年になっても良いです。織田作の命日に,一緒に墓詣りに行きましょう」






『はい,判りました。』

「有難う。」

『…………其れでは,太宰さん。御元気で。』

「其方こそ,御元気で。」










「そう云えば太宰さん,此処の処,心中しに行きませんね」

「嗚呼。"此の時期"だからな」

「此の時期…とは?」

「此の時期は太宰は心中しない。"有る人"を待っているんだ」

「え?」






「…。」





太宰さんは応接間のソファーで横たわっていた。

誰を待っていると云うのか…。

なんなら自分から行けば良いのに…




カラン…コロン…。




『御免下さい。』




「はーい,御依頼ですか?」



誰か御客が来たみたいで,賢治君が出る。



『いえ,"太宰治"と云う方は居られますか?』

「はい,居ますよ」




「ふわぁー…」


「太宰さーん」

「はーい…」

「太宰さんに,御客様ですよー」

「私に?」



『御早う御座います。』



「…。」

『クスッ』

「え,あなたさん…?」

『はい,そうですよ』

「えぇぇぇぇ⁉︎今年来たんですか⁉︎」

『はい!』

「厭まぁ,何時でも良いと云ったのは私だけど…真逆今日来るとは…」

『やっと心に落ち着きが出て来たんです。今年こそは来ようと思っていました。』

「どうして此処が?」

『青の使徒?の新聞で武装探偵社の方が写っていて,其の横に写っている方が太宰さんなのでは無いかと思ったんです』

「流石,織田作の彼女…観察力が人一倍だ」






「あのー,太宰さん?」

「其方の女性は貴様の客か?」

「そうだよ」

「御早う御座います。太宰さんの下っ端の中島敦です!」

『"織田"あなたです』

「!」

「宜しくお願いしますね!」

『はい!』

「此れからどう致しますか?」

『御墓詣りに行こうと思っています』

「御墓詣りですか?」

『はい,太宰さんと』

「……そう云う訳だから,行ってくるねー!」

「一寸,太宰さん⁉︎」

「止めとけ,敦」

「え?」

「行かせてやれ。」

「?」














「苗字,織田で大丈夫だったんですか?」

『実は,結婚指輪の箱の底に小さく折られた婚姻届が入っていましてね。ポートマフィアの構成員として登録されている中,戸籍上は亡くなった事はまだ記録されていなかったんです。』

「成る程。だから婚姻届が出せたんですか」

『はい。名前も住所も…証言人まで書き終わっていて。一寸笑ってしまいました』

「ふふっ,織田作らしいですね。」

『本当に。』




私達は織田作の墓に着いた。




「……久しぶりだね,織田作」

『本当に久々でしょうから,好きなだけ話してあげて下さい』

「有難う。」




「…織田作,御免ね。実は私…まだ君が最後に云った言葉を,彼女に伝えられていないんだ」

"…"

「こうして会いに来てくれた今,如何やって彼女に話そうか迷ってる」

"…"

「此れを聞いて…彼女は如何思うだろう…。悲しむかな…」

"………そんな事無い。"

「!」

"なんせ,俺が"愛してる"女だからな"

「………………そうだね。」

"また何か会った時は,あなたを助けてやってくれ"

「うん,任せて」

"あなたを,宜しくな。来年も待ってる"

「………私は彼女を好きになる事は出来ない。其の気は尚更無いさ。でも,良き友人として此れからも接していこうと思ってる。任せてよ,織田作。」






『あら,終わりましたか?』

「うん。今度は,あなたさんの番だ」

『はい』




『織田さん,御元気ですか?』

"嗚呼,元気だよ。サクラやシンジ達も"

『其れは良かったです。私も貴方と同じ様に,今は孤児の子達を助ける仕事をしています』

"其の子達は如何だ?"

『皆,辛い子達ですが…優しい心を持っています』

"そうか。良かったな"

『はい。』

"………あなた"

『はい?』

"置いて逝って…御免な…。"

『…謝らないで下さいよ…悲しく…なっちゃうじゃ,ないですか』

"そうだな,御免な"

『…織田さん,大好きです』

"嗚呼,知ってる。"

『織田さん__』

"作之助。"

『え?』

"作之助って,呼んでくれ"

『…作之助さん』

"何だ?"

『愛してます。』

"嗚呼。__










________俺も。愛してる。"










ヤバイ。

書いてる途中から涙が止まらなくなった…。

はぁい‼︎文スト,織田作之助です!

もうあの,はい。

文ストの中で織田作之助のシーンは何回見ても泣いてる。

あれ見て泣かない人います⁉︎

います⁉︎⁉︎ ←二回聞いた。

書いてる途中に気付いたんですけど

二回連続で諏訪部順一さんでしたね笑

まぁ全然大丈夫ですが!

ウェルカムですが‼︎

織田作は,絶対に

絶っっっっっっっっっ対に

顔に出ないタイプよね。

絶対に。








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