第11話

あひるの空×夏目健二
1,050
2022/04/13 02:32
「あなたさーん!」

『あ,奈緒ちゃん』


私を呼ぶのは七尾奈緒ちゃん。

ここ九頭龍高校の男バスのマネージャーをしている。


「応援に来てくださったんですか?」

『シャーないんだもん…"アイツ"が出るから』


アイツ,とは

男バスチームの一人,夏目健二。

私の一つ下の一年生で…


「きっと夏目君も,あなたさんに来て貰って嬉しいと思いますよ?」

『そうかなー…』

「彼女に自分の試合見てもらえるなんて,嬉しい事じゃないですか!」

『…』



そう,

私の彼氏…。



「じゃあ,私行きますね」

『うん。頑張ってね』

「はい!」



私も一応バスケ経験者。

トビの練習に何回も付き合った事はある。

今日は試合で,見にきただけだけど

少しは普段の,つまりバスケをしている時の彼を見つめるのも悪く無いと思った。

今皆はウォーミングアップや準備をしている。


「あ,松川先輩だ!おーい!」


車谷君が私を呼ぶと,チーム皆が私を見た。

安原達も手を振っている。

もちろん,トビも私を見ている


「おーい,先輩!」

「止めとけ,車谷」

「え?」

「松川の奴,今それどころじゃねぇから」

「へ…?」


二年生の先輩,松川あなたさん。

僕達の指導とかもやってくれた事もあって

「試合を見にきてくれたんだ」

と,嬉しがっていた僕だけど

先輩は何かを見つめていて,百春君が言ってくれるまで気が付かなかった。



「あーぁ,良いなぁ綺麗な彼女」

「千秋先輩。」

「松川は二年生の美人No.1だった。」

「へいへい。」

「それをあのトビの野郎に…!」

「あ,はは…」



先輩はトビ君を見ていた。

同じくトビ君も先輩を見ている。

見つめ合って,先輩は頬を絡めていた。


『頑張ってね,トビ』

「おう。」











ドンドンッ




『…。』




午後8時

私は壁にもたれながら,彼を見ていた。

ゴールの前,ハーフコート内にコーンを並べ

ボールを突き始めておよそ3時間…。

そう,試合は_



『…ねぇ,体壊すよ』

「放っとけ」

『…。』



_負けたのだった。



『…むしゃくしゃするの…?』

「…」

『悔しいの?イラつくの?』

「…」

『言ったら,カッコ悪いとか思ってるんでしょ』

「っ…」

『言ってよ,ここには私しかいないんだから。』

「…」


すると彼はボールを突く腕を止めた。


「…まぁ色々あるけんど」

『…』

「一番は_」


すると彼は向きを変えて,こっちに走って来た。

なーにか,嫌な予感がする様な気がして

立ち上がって外に出ようとした

…けど,遅かった。



ダンッ!



『…』

「…」


壁に手を付けられて,逃げ場を失った。


『……一番は…?』

「…」


私の質問に答えようとせずに,顔を近付けて…


『っ!』


噛み付くかの様なキスをして来た。


『〜ッ…』


痛いわけじゃない。

この感触が嫌いなわけじゃない。

でも,受け入れて彼の背中に手を回す事が出来なかった


「………一番は」

『はぁ…はぁ…』

「好きな女に自分のカッコえぇ所,見せれんかった事じゃのぅ」

『!…』

「それが,一番悔しい。」

『……良いもん』

「あ?」

『普段から…カッコいいから』

「!…」

『本当は…今日,ここに来るの迷ってたんだ』

「…」

『きっと勝つと…思って…』

「…本当に」

『…』


怒らせたかな…


「可愛えぇのぅ,アンさんは」

『へ…?』

「どこまでワシが言うた事,信じとるんじゃ?」

『え…それは,前に…』

「それは,試合の3日前に言うた言葉やな」

『うん…』







「なぁ,先輩。」

『…』

「おい」

『…』

「こら,あなた!」

『うぇっ⁉︎』

「シカトか,こら?」

『え,何が?』

「…何回も呼んどるんじゃけど」

『ごめん。もしかして,"先輩"って呼んだ?』

「おう」

『そりゃぁ,気付かんわ』

「なんでじゃ」

『だって普段先輩呼びする事ないじゃん』

「まぁ。」

『ま,アンタが私を先輩呼びする時は,何か頼み事したい時だけどね』

「ギクッ…」

『何なの?』

「……今度の試合,見に来てくれへんか?」

『え?』

「上から見とるだけでえぇから。」

『……分かった。』

「ん。ほな,俺行くわ」

『え,それ言いに来ただけ?』

「おう」

『そーかい。』

「見とけよ,絶対に勝ったる!」

『……クスッ』







『きっと勝つんだろうな,って思った。けど,トビが私に言ってきた時,不安そうな背中してた』

「不安…?」

『"少しでも不安を潰せる理由が欲しい"って』

「…」

『だから見に来て欲しいって言ったんでしょ?少しでも不安にならない様に』

「…」

『私が行ったら,その勝つっていう自信が無くなるじゃない…。それが嫌だったから…』

「…そうや。」

『え…』

「全部その通りや」

『…』

「怖かった。それだけや」

『…』

「今日は帰ろかのぅ」


トビは片付け始めた。

『手伝おうか?』

って言ったけど…

「外で待っとけ」

って言われた。

"怖かった"か。

彼のその気持ちを,私はどうやって和らげる事が出来るのか…。

今回の試合だけじゃない,きっとこれからも怖くなる。

ホワードは基本,オフェンス型。

点を決めるのに必ず必要になるポジション

気持ちが乱れちゃったら…

彼が彼じゃなくなる…。







「い…おい,あなた」

『!』

「終わったで。」


名前を呼ばれて,上を見ると顔がすぐそこにあった。

ほんの僅か数㎝。



『っ…』

「帰るぞ」

『…』



彼は階段を降りて行く。



『待って!』

「!」

『待って…』

「何や,泣きそうな顔して。ワシはどこにも行かへんぞ」

『そうじゃなくて…』

「ん?」


私は小走りで彼に近付いた。

そして…


「⁉︎」


キスをした。

彼の様に力強いものじゃない…

178㎝と162㎝の差

少し背伸びしたら届く身長差。



『…』

「な,にして…」

『私がいる!』

「!」

『私がいるから。ずっとこれから先,トビが出る試合で必ず上にいるから!怖いから不安を潰す,そんな理由じゃなくて…私に』

「…」

『カッコいい所,ずっと見せてよ。』



恥ずかしかったけど,これが私の精一杯の言葉。



「……おう,どこまでも見せちゃる」

『…うん』








"そーいや,ご飯食べてなかった。"

"腹減ったのぅ"

"何食べたい?"

"アンさんは?"

"寒いからー…おでん食べたい!"

"ほな,買いに行くか"

"わーい!"

"その代わり…"

"ん?"







____家着いたら,覚悟せぇよ。








あひるの空,夏目健二‼︎

あひるの空の最推しっス!

スポーツのアニメって,点決まる時に鳥肌立ちません⁉︎

物凄くカッコ良い!

私も一応バスケ経験者で,ルールがアニメと少し違ったらごめんなさいです。

はい,来ましたよー

来ましたよー⁉︎

紀章さぁぁぁぁぁぁぁん‼︎‼︎‼︎

最初あひるの空見た時,キャラの声優さんを確認してなくて

トビの声を聞いた時,

「え,マジ?まさかよね?まさかそんなわけないよね⁇え,違うよね⁉︎⁉︎」

って言ってたら,予想的中!

紀章さんだったって言うね。

トビは最初から最推しだったから

運命を感じた!←(おい)

トビは断然,俺様系じゃ!

でもたまーに,たまーに!

デレるかもね。

優しくもすれば,激しい時もあり

余裕もある

たまーに,ない。













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