第29話

ハイキュー×孤爪研磨×妹×黒尾鉄朗 ②
630
2021/05/30 09:56
『ただいま。』

「誰にただいまって言ったんだ?」

『…さぁ』

「じゃあ俺だな。おかえり」

『……ただいま』

「荷物置いてきてやるから,手洗ってきな」

『わかった。ねぇ,クロ』

「ん?」



『おかえり。』



「…おう,ただいま!」

『クスッ…』













今,俺が部屋を片付けて

あなたがロコモコを作ってる。

キッチンから良い匂いがしたから

そーっと近付いて,あなたが冷蔵庫を見てる間に

サラダのつまみ食いをしようと思った。



「…」

『うーん…』

「…ん!」

『ん?』

「あ。」

『ちょっと,つまみ食いしないで』

「いーじゃねぇか。ちょっと」

『もう…』

「ちょっと食べただけなのに,すっごい美味い!」

『…』

「このツナサラダさ,ツナをさんまに変えられね?」

『無理。』

「えー」

『…』

「ま,いーや。部屋の片付け終わったぞ」

『ありがと』

「にしても,親が居ないからって汚ねぇな…」

『それ全部お兄ちゃんだから。』

「へいへい」

『それに,クロの部屋よりかはマシでしょ』

「ゲッ…」

『偶には部屋,片付けなよ。』

「えー…」

『どうせ,部活のタオルとか学校の教科書とか散らかってるんでしょ』

「入った事あるの…?」

『無い。』

「じゃあなんでそんなに知ってんの…?」

『何となく』

「あらそう…」

『……よし,出来た。』

「持ってくぞー」

『ありがと』




美味そー

母親が作るロコモコとかとは大違いで

とにかく美味そうだった。

いや,これは間違いなく美味い




「いただきまーす」

『いただきます。』

「…!」

『どう?』

「うんっま!ロコモコうま!」

『良かった。』

「お前,ずっとゲームしてる感じして,意外と家事出来るよな」

『バカにしないでよ。料理くらい出来るし』

「お菓子とか作れんの?」

『うん。ケーキとかも作る』

「マジ⁉︎」

『うん』

「じゃあフランス料理作れたじゃねぇか」

『すぐに簡単に作れる様なもんじゃない』

「えー…」

『……今度作ってあげる。』

「え?」

『クロのお母さん,出張で2日くらい家空けるってお兄ちゃんから聞いた』

「研磨…」

『どうせ自炊しないでしょ?カップラーメンとかで適当に済ませるんでしょ?』

「あ,ハイ…」

『作ってあげる。』

「いぇーい」

『何が食べたい?』

「んーっとなぁ…」




なんかこんな話してると,本当の家族みたいだな。

家族っていうか…

恋人っていうか…。




「パスタ。カルボナーラ」

『分かった。』

「ちょー嬉しい」

『はいはい。あ,好きなケーキの種類は?』

「え?」

『作ってあげるよ。デザートがわりに』

「マジ!サンキュー!」

『1食25000円』

「ちょっと⁉︎」

『嘘だよ。普通に作るから』

「もー…」



全く…

血の繋がりって怖いな。

本っ当研磨そっくり。




「ごちそーさん」

『はい。皿貸して。洗うから』

「俺洗おうか?」

『いや,大丈夫だよ。普通に繕いでて』

「…ん」

『あ,ゲームの準備しといて』

「ったく…」




電源を入れて,ソフトを起動させる。

集中してると,後ろから何か冷たいものが当たった。




「ひっ⁉︎」

『やーい,冷たかった?』

「冷たくないと思わない人居ないと思うけど⁉︎」

『アイス,あげる。』

「無視かよ!ありがと!」



アイス食いながら,あなたとゲームした。

ゾンビゲームとかバトルゲームとか,相変わらずあなたは強い。

一回も勝たせてくれねぇ…



「ねぇお嬢様。一回くらい勝たせてくれません?」

『結構弱めなんですけどね』

「なんかムカつくー」

『クロ。お茶』

「自分でとりなさい」

『執事。お茶』

「…ったく。俺前世はあなたの執事だったんじゃねぇかな」

『…やだよ。前世まで一緒に居たとか』

「……あ,そう」



なんだよ

何傷付いてんだよ…




「…」

『…。』

「…んだよ」

『……ふふっ』

「?…」

『…嘘だよ。』

「!…」

『もし前世でクロが私の執事なら,前世のクロは私の事大好きだったんだね』

「え…?」

『…それだけ私と一緒に居たかったって事じゃん。』

「っ…」

『良かった。』

「良かった,って…なんで?」

『…私多分…クロが居なかったら生きていけないと思う。』




…知ってる。

お前はそういう奴。




「それ,プロポーズの一種だぞ」

『…じゃあ,それで良いよ』

「!…」




今…何て…?




「…つまり?」

『…』




あなたは向こうむいた。

寄ってみると…





「…お前…」

『……///』





顔が赤くなっていた。





『…察しなよ,バカ執事』

「……はいはい。」





俺はあなたを抱きしめた。





『…本当…バカ執事…』

「はいはい。俺はバカですよ」

『…ねぇクロ。』

「ん?」

『前世も今世もクロは私の隣にいる。ならさ、来世もいる?』

「…」



そんなの、当たり前だろ。



「…絶対に、いる。」

『…ふふっ。良かった。』




執事はな。

ただ単にお嬢様の要望を聞くだけじゃないんだよ。

一生かけてお嬢様を守り抜く。

そういうものでもあるんだよ。




ちゃんと守るからな。













「クロ。本当に反省して」

「はい。本当に申し訳ありませんでした」




翌日。研磨が帰ってきた。

俺は見つかり、正座で説教された。




「あなたも。もうそこから出てきて」

『…』




あなたはずっと壁に隠れてた。




「ねぇ…事情聞いたけどさ。あなたはクロのことが好きなの?」

『っ…』

「…」

「あなた。怖がらなくて良いから。」

『…お兄ちゃん。お願い。クロを怒らないで』

「…」

『悪いのは私だから…』

「…分かったから。どうなの?」

『……好きだよ。クロのこと。』

「………クロ。」

「は、はい」

「…傷付けたら、絶交するし。許さないから。」

『お兄ちゃん…』

「俺の仕返しは、相当なものだと思ってね」

「…もちろんだよ。」




あなたはこれまで見たことないくらい笑顔で俺を見つめた。

ちゃんと守るからな。






プリ小説オーディオドラマ