第10話

川村美琴_4
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2021/01/26 22:47
川村 美琴
ど、どうしたの?
「どうしたのって会いに来たんだけど…」



そう高梨くんは微笑む。




私たちはいつもどんな会話をしているのだろう。



どうしたらいつも通りになるのだろう。



私の中ではそんな不安がぐるぐるしてた。










ある日の放課後



部活のない日はいつも一緒に帰っているらしい。


「おまたせ、帰ろう」
川村 美琴
うん、!


「俺さ、美琴と一緒に行きたいところがあるんだけど、どう?」
川村 美琴
え!どこどこ?


「ここなんだけどさ!」


高梨くんのスマホに綺麗なイルミネーションが見える。



川村 美琴
わぁ、素敵なとこだね!
予定…いつがいいかな?


「そうだな、来週なんてどうだ?」
川村 美琴
わかった、空けておくよ



カップルっぽい。いやカップルか。



川村 美琴
あ、高梨くんさ、


「ねぇ、。」


隣を歩いていた彼が私の手を握る。



川村 美琴
え、何…?

「名前で呼んでほしいな」
川村 美琴
…ひ、弘人ひろと


「ふは、顔真っ赤!」


爽やかな笑顔でこちらを覗く。






今私すごい幸せ…。










そして、とうとうイルミネーションを見に行く日。




川村 美琴
わぁ…


暗闇に赤や青、黄色など色とりどりに輝く。




少し寒いが心はずっとドキドキしてる。


「ほんと綺麗だな」
川村 美琴
ね!

「美琴も綺麗だよ?」


こてん、と微笑みながら照れくさそうに言った。



川村 美琴
ちょっと、からかわないでよぉ!!


「からかってない」


「…好きだよ、美琴」


川村 美琴
わ、私も……




あぁ、もう戻りたくない。




そういえば、迎えに来るって言ってたけどいつだったっけ。




まぁいいか。






私はこれからずっとここにいればいいんだから。





私の居場所はここなの。
























「わーすごい!!」
「彼氏くんいいとこ連れてってくれんじゃんか!」




次の日、友達に昨日の写真を見せたのだ。





「いーなぁ、私も彼氏ほしいな!」



「今日も一緒に帰るんでしょ?」
川村 美琴
そう!

「ひゃー!」


「着いてっちゃおうかなぁー?」



皆私を羨ましがる。


そして優越感に浸る。




なんて快感なんだろう。










放課後、いつものように高梨くんと下校する。
川村 美琴
おまたせ!

「うん」


いつも笑顔な高梨くんだが、今日は一段と暗い表情をうかべている。



川村 美琴
どうしたの?


「俺さぁ、約束を破る奴大嫌いなんだよね。………お前みたいなさぁ!!」
川村 美琴
何…私何かした?!

いつもこんなこと絶対しないのに。



怖い…。

「何泣きそうになってんだよ!お前が悪いんだからな!!!」
川村 美琴
私…なにもしてない……!


すると、怖い顔をしてた彼は急に満面の笑みで甲高い声を出しながら笑い始めた。



「きゃははは!!ばっかじゃねーの?!!」






どんどん景色がこの前の鏡の中のように白くなっていく。





そして高梨くんはドロドロとチョコレートのように溶け、あの双子の片割れになった。




リオ
残念だなぁ
リオ
破られちゃ困るよ


後ろから物音がした。


そう思った



一瞬だった。



床には赤い液体。


胸にはナイフが。




どんどん痛くなくなっていく。
川村 美琴
あ"ぁああ………




まだ、




まだ高梨くんと一緒にいたかったのに。





どうして………、







川村美琴




死亡。

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