第91話
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隠の方が一般人を避難させている横を通った。
そう声が聞こえた。
頼りにされている。
それだけで力が湧き出てくる。
少し遠くに雛鶴お姉ちゃんが鬼に顔を掴まれていて宇髄さんが血だらけなのに助けようとして助けに行けないという状況が出来ていた。
ゾワッと毛が逆立つ感覚になった。
拓海達を置いてシュッと姿を消し、
男の鬼の腕を斬った。
雛鶴お姉ちゃんの前に立ち、
1度日輪刀をしまって
その鬼に向かい、
そう言ってぺこりと頭を下げた。
キィンッ!!と妓夫太郎の腕に生えている釜みたいなので弾かれた。
けれどそんなの関係ない。
私は、
煉獄さんのように、熱く、誇り高く皆に頼られるように、認められるようになりたい。
だから宇髄さんも、雛鶴お姉ちゃん達も炭治郎達もみんな守ってみせる。
宇髄さんが鎌に気をつけろと言われる前にもう直感でわかってた。
だって宇髄さんの動きが鈍いんだもん。
いつもあんなに豪快に動くのに。
血を流して、動きにくそう。
元忍って言ってたから毒とかに耐性があると言っていた宇髄さんですらああなる。
なら私はもっとやばいだろう。
炭治郎も参戦しようとしてくれたけど
妓夫太郎の攻撃を避けたつもりがギリギリ髪留めにぶつかり、
バツン!!と弾けた。
右側がバサりと髪の毛が広がった。
落ちてしまった髪留めを拾い、隊服の内側へとしまった。
もう片方を解き、ポニーテールにする。
短めではある髪紐だがしっかりと結べる。
紐の先に着いた硝子玉がチリ、と擦れる。
ギュルッ!!と血鎌が飛んでくる。