第85話
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無一郎くんと買ってきた物を食べ終わったあたりで
って宇髄さんが言った。
無一郎くんは
クイッと腕を掴まれ、立ち上がらされた。
お姉ちゃんと伊黒さんは
って。
けど他の柱達は
って、不思議がっている。
無一郎くんはムスッとした表情で
そう言ってその場から離れ、どんどん人気のない方へと向かった。
出店がある参道から外れ、林の中へと入る。
ある1本の気の前に立ち止まったかと思うとヒョイッとお姫様抱っこをされ、木の上に移動した。
おおきな木の上の方の丈夫そうな枝の所に座らせてくれて無一郎くんもその隣に座った。
私は幹と無一郎くんに挟まれているし、枝自体も大きいから安定してる。
2人きり、というこの状況にドキドキしてくる。
顔が赤くなっていないか、とか
沢山食べちゃってたけど口周り汚れてないかな、とか考えていると
突然話しかけられ、無一郎くんを見るとすごく真剣な顔。
目が離せなかった。
そこで、
ヒュルルルルルルル..............ドォォンッ!!
パラパラパラパラ.......
と、花火が上がり始めた。
ぱっ、とそっちを見て
顔を無一郎くんの方に無理矢理向かされ、
ドォォンッ!!
ドォォンッ!!
パラパラパラパラ.......
花火の音が大きかった。
少し聞き取りづらかったけれど、しっかり聞こえた。
「僕、あなたのことが大好きなんだ。付き合ってよ」
って。
真剣な瞳に、顔に、かっこいいその浴衣にずっとドキドキしていたのに
さらにドキドキした。
そんなの、決まってる。
今できる、精一杯の笑顔でそう答えた。
無一郎くんは
少し面白くなさそうにしている無一郎くん。
顎をくいっ、と少し上げられて私を熱の篭った目で見つめる。
コクリ、と頷けば顔が近づいてきて目を閉じ、直ぐに
ちゅ、
と唇同士が触れ合った。
大好きな人との口付けがこんなに幸せなものだとは思わなかった。
何度か触れるだけの口付けをしてやっと離れていったかと思うと
無一郎くんの人差し指でふにゅん、と私の唇を触れた。
いつの間にか花火は終わっていて、木から降りて参道を歩く。
まだ終わった直後だったようで帰る人が多かった。
帰り道におはぎアイスを売ってるのを見つけ、無一郎くんが買ってくれた。
二人で食べ、
なんて微笑みあって、しっかり恋人繋ぎをしながら帰った。