第75話
74
無一郎くんと仲直りしてからおよそ2週間後。
目の前には隊服がある。
目を閉じ、考えるのは復帰について。
どんな理由であれ私は1度柱から退いた。
誇り高き「炎柱」から。
煉獄さんから受け継いだ「炎柱」だったのに。
こんなに心が弱くて柱が務まるのだろうか。
他の柱の皆さんは強いのに。
私はすぐに弱音を吐いて逃げてしまった。
ぽそ、と呟くと
なんて声が聞こえた。
びっくりして後ろを振り返ると閉じていたはずの襖が開かれていて無一郎くんが立っていた。
なんでここにいるの、と言おうとする前に部屋の中に入ってきて私の前に座ってぎゅうっと抱きしめてきた。
無一郎くんは微笑んで
そう言って私の目をじっと見つめてきた。
すぐにまたそう言ってきてへにゃりと笑った無一郎くん。
私は顔を真っ赤にして
って言うしかなかった。
頭をポンポンされ、優しく言ってくれた。
そう言って部屋から出て襖を閉めてくれた。
無一郎くんが戻っておいでと言ってくれたのなら
私はまた柱に戻ろうと思う。
今度こそ、誇り高くて強い、皆に頼られるような炎柱に。
久しぶりに隊服に袖を通し、入隊祝いに貰った物を身につけていく。
だがしかし。
今手元にあるのは実弥さんから貰った真っ白な羽織。
無一郎くんと仲直りしたのに、実弥さんとは元の関係に戻ったのに。
羽織だけを持って襖を開け、
こちらを見てそう言われた。
気まずい雰囲気が流れる。
けど無一郎くんはケロッとした感じで
無一郎くんが胸元からあるものを取りだした。
どこかの神社の袋で
そう言ってそれを渡してくれたから受けとり、中身を取り出すとそれは
そういって首元のボタンを外して中から同じものを取り出して見せてくれた。
首にぶら下げて胸元にしまい、羽織も着て無一郎くんと手を繋いで本部へと向かった。