第17話
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もうお互いの息が分かるほどの距離で。
もう私の顔もびっくりするくらい真っ赤なはず。
頭がだんだんグルグルして訳が分からなくなってくる。
もう怖いだとか恥ずかしいとか全てごちゃごちゃになって目をギュッ、と瞑った。
口付けされる、その時
お姉ちゃんが帰ってきたのだ。
霞柱様はピタリ、と止まった。
トテトテと可愛らしい足音が聞こえる。
少し悔しそうに霞柱様は言って離れるかと思ったら、
ちゅっ
と私の口の真横に口付けをして離れた。
もう訳が分からなくなって意識を飛ばしてしまった。
時透無一郎side
少しあなたをからかって口の横に口付けをすると真っ赤だった顔をさらに赤くしている。
反応がなくなったな、なんて思ったら意識を飛ばしている。
昼間不死川さんと美味しそうに団子を食べているのがなんだかモヤモヤしてそこに割り込んだ。
不死川さんも何だか楽しそうだったしあなたも楽しそうだった。
全く知らない人が見たらお似合いの恋人に見えてもおかしくない。
不死川さんは身長もあるし自他共に認める厳しい人だけれど優しい人だ。
あなたは僕より身長は小さいけれどすごく努力家だし中々強いと思うし可愛いし……
僕より一つ上だし、、
自分の恋仲でもないというのにどうしてここまであなたに対してモヤモヤするのか全く分からない。
意識を失ったあなたの頬をなぞり、そう呟いた。
そこで
壁にもたれかかって眠っているあなたを見つけたのか甘露寺さんは小走りで近寄ってきて、
口の真横に口付けして意識を飛ばしたなんて言ったら面倒なことになるなんて分かってたから誤魔化した。
気を失ったままのあなたをお姫様抱っこして甘露寺さんについて行って部屋に運び、布団に寝かせた。
そう言うと甘露寺さんはルンルンしながら部屋を出ていき、お茶を取りに行った。
部屋に2人きりとなり、すやすやと眠るあなた。
もうすぐあなたと初めて会ってから2年近くになるだろうか?
初めてこの家であなたと出会ってからずっと頭からあなたのことが離れない。
僕があげた羽織を大事に着てくれるし、僕を見かければちゃんと話しかけてくれるし。
僕のことを認めてくれた御館様、鬼殺以外はどうでもよかったはずなのに
なぜあなたの事がこんなに気になるんだ?
僕以外の異性といるのがどうしてこんなにモヤモヤするんだ?
別にあなたと恋仲でもないのに
あなたに好いている人がいるって聞いた瞬間、僕であって欲しいと、
他の人ていて欲しくないと願ったのはなんで??
不死川さんの名前を出した時、びっくりしていたのはなんで?
もし恋人がもういるとしても何もおかしくない。
だってあなたは可愛いもん。
不死川さんでも、煉獄さんが恋人でも何もおかしくない。
否定する事なんて出来ない。
ねぇ、教えてよあなた……。
時透無一郎side終了