第57話
56
時透無一郎side
炎柱の席が空いてしまい、次はあなたがなると決定していた。
けれどあなたはならないと、御館様からのお願いを聞けないと言った。
あなたに期待していたのに。
あなたなら任せて!!って言うと思ってたのに。
ずっとめそめそしていた。
僕は理解できなかった。
確かに煉獄さんは凄い人だ。
騒がしいけど、みんなから慕われている。
優しくて、世話焼きな人。
けれど鬼殺隊にいるのならばいつ死ぬかなんて分からない。
それは柱でも同じことだ。
あなたもそれは分かっていたはず
なのに、ずっとめそめそしていて炎柱にならないなんていうから思わず
そういってあなたの屋敷から出た。
翌日の会議には一応来ていたみたいだけど知ったことではない。
その場で御館様に言われてもなるとは言わなかった。
僕は明るいあなたが好きだ。
嬉しそうな、楽しそうにしているあなたが好きだったのに。
それから1週間後、不死川さんに任務先から帰る時に出会って話を聞かされた。
僕には関係ない
不死川さんは目を細めて
そういって不死川さんは姿を消した。
僕は屋敷に戻ってからもずっと、
その言葉の意味を考えた。
まるで、あなたが僕の事を好きだった、みたいな言い方じゃないか
あなたと話がしたい。
きっとあなたの事だ
僕が話しかければきっと今までみたいにニコニコしながら話をしてくれるだろう。
その願いが、無駄になるなんてことはその時はまだ知らなかった。
時透無一郎side終了