第45話
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現れたのはあなたちゃんだった。
街で会った時はすごく可愛らしくニコニコしていたのに今は鬼のいる方を怖いくらいの表情で見ている。
ガタガタ震える私を安心させるように片腕で抱きしめてくれる。
あなたちゃんはそのまま麻耶のいる所まで後ずさり、私を下ろして彼女の来ている羽織を脱いで私達に
なんて言ってかけてくれた。
私達が
なんて言うとにっこり笑って
なんて言って立ち上がり、私たちに背を向けて
なんて言って鬼に向かっていった。
あなたちゃんの着ていた服の背中には
「滅」
の文字が。
麻耶と抱き合って
そう
鬼は今いる一体だけではない。
5体いる。
ちらりと見た大人達がそう言っていたらしい。
そう願った。
菊葉side終了
本人視点に戻ります
戦い始めてから1時間。
気づいたら鬼が5体もいた。
何とか斬って残りは2体になった。
けれどこいつら.......
十二鬼月だった。
しかも2体。
こいつらに吹き飛ばされ、木に叩きつけられた。
血も吐いたし、切り傷だってある。
けれど引く訳には行かない。
先程成香が近くにいる柱を呼ぶと飛んで行った。
しかし直ぐにくるとは限らない。
来ない可能性だってある。
柱は忙しいから。
ならば
ちゃきっ、と刀を構え直してさらに集中する。
煉獄さんには今度奥義である「玖ノ型 煉獄」を稽古でまた教えてもらう約束をしている。
まだ十分な威力を出せないから、何度も何度も教えて貰っている。
無一郎くんとだって甘味処に行く約束もしている。
ほかの柱の皆さんにもたまに稽古をつけてもらったり、美味しいものを食べに連れていってもらうこともある。
拓海も、克哉とも切磋琢磨している。
ガガガッ!!
とものすごい勢いの斬撃が鬼に向かっていった。
土煙が晴れるとそこには
実弥さんは彼女たちを見ることなく私の頭を撫で、そう言った。
けれど
口の中に溜まった血をぺっと吐き出し、そういった。
びっくりした様子の風柱様は直ぐにフッ、と笑って
風柱様から離れ、下弦の陸に向かっていく。
一体だけならきっと勝てる。
いや、絶対に勝つ!!
風柱様は
と余裕そうである。
私だってあれくらい強くなりたい。
ガキンッ!!と頸に日輪刀が当たったが硬い。
弾き飛ばされたかと思うとだいぶ離れた麻耶ちゃんたちのいる辺まで飛んだ。
何とか着地し、
そう一言だけ返し、
グッ.......と今までで1番踏み込み、
思い出すのは煉獄さんからの教え。
「心を燃やせ」
下弦の陸に向かって、今自分が出せる全力で玖ノ型を出した。
すると今までで1番の威力で
頸が斬れた。
鬼が消えたことをしっかりと確認すると力がフッ.......と抜けて座り込んでしまった。