第31話
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ビュウッ、と強い風が吹き思わず目を瞑った。
しかしゴミが入ったのか
実弥さんに道の真ん中ではなくて建物と建物の間に連れて行ってもらい、
実弥さんが私の顔を上に向けて傷がないか見てくれる。
顔がすごく近くて恥ずかしいがそれよりも目のゴミがとって欲しくてされるがままになっていた。
不死川実弥side
あなたと逢引きの途中、女二人に声をかけられて最後の甘味処で仕方なく一緒に甘味を食った。
あなたは本当に美味そうに食っててずっとみていて飽きない。
女共と別れてあなたと残り少ない「恋人ごっこ」を楽しもうと手を繋いで歩いていると少し離れたところに時透がこちらに向かって歩いているのに気がついた。
そこで風が吹き、あなたが目にゴミが入ったと目を擦り始めた。
時透に嫉妬させてくっつけよう作戦ではあるが俺は違う。
あなたを本気で貰い受けに行く。
これ以上のチャンスはない。
時透はこちらに気づいてあなたに話しかけようとしたがあなたは気づいていなかった。
路地裏に連れ込むと時透がこちらを見ていて
あなたを上に向かせ、目にゴミが入っていないか見る。
目尻の方に少しゴミが入ってしまっていた。
顔を不審がられない限界まで近づけ、時透から見たら口付けをしているように見えでもおかしくないようにしてやった。
ゴミはすぐ取れたが
ちら、とまた時透を見ればふい、とまた前を向いて歩いていってしまった。
時透、俺はあなたが欲しい
お前には負けねぇよ
不死川実弥side終了
時透無一郎side
任務に向かおうと街を歩いていると前から綺麗に着飾ったあなたと私服姿の不死川さんが歩いてきた。
2人とも楽しそうに歩いていて、
なんて思った。
少し強めの風が吹いたかと思うとあなたが目をつらそうにしている。
目にゴミが入ったのか?
声をかけようとしたら不死川さんがこちらを見て
なんて言って路地裏に連れ込み、あなたに上を向かせた。
何をするのかと思ってみていたら不死川さんはまたこちらを見て
ニヤリと笑ってあなたに顔を近づけ、口付けをしていた。
唇部分は見えていないがあの顔の近さからしてそうだろう。
もう、それ以上見たくなくてその場から離れた。
綺麗に着飾って、髪の毛も可愛らしい髪型で
不死川さんもかっこよくて。
完全にお付き合いしているようにしか見えない。
心が、痛くなった。
あの二人が一緒にいる所なんて見たくない。
不死川さんのいる位置が僕だったらいいのに、なんて。
ねぇ、あなた.......
教えてよ
僕一人じゃ分からないんだ
時透無一郎side終了