第94話
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目を覚ますとそこはどこかのお屋敷。
しかし薬の匂いだとか自分の状態からしてここが「蝶屋敷」であることが分かった。
腕に繋がれていた点滴がいくつかブチブチと音を立てて抜けた。
もう全身が痛くて、今の針が抜けたのなんて痛みが分からないくらいに全身が痛い。
布団の上に咳き込んだ時にでてきた血が広がった。
ビシャッとさらに出てくる。
息が苦しい。
頭がグラグラしてくる。
無一郎くん、と呼ぼうとした時、
煉獄さんに伊黒さん、お姉ちゃんが来てくれた。
喋りたいのに、喋れない。
背中を摩ってくれるお姉ちゃんに
涙がボロボロとこぼれる。
苦しい。
バタバタと慌ててこちらに向かってくる足音。
そして
しのぶさんが来てくれた。
手際よく点滴を治してくれてあるひとつになにか薬剤を混ぜている。
すぐに痛みが引いてきて眠くなり、
眠りについた。
胡蝶しのぶside
珍しく伊黒さんが慌てている。
思い切り開かれた扉がミシッ、と悲鳴をあげた。
仕方ない人だな、と思った次の瞬間、
すぐ立ち上がり、鎮静剤を持って伊黒さんとあなたさんのいる病室に向かった。
そこには苦しそうに咳き込んで吐血し続けるあなたさん。
甘露寺さんは背中をさすり、煉獄さんは意識を飛ばすなと声をかけ続けている。
すぐに点滴をつけ直し、鎮静剤を1つの点滴に混ぜるとすぐに楽になったのか眠りについたあなたさん。
アオイに血で汚れた掛け布団の交換をお願いし、私はあなたさんの顔を綺麗にした。
脂汗も酷かった。
一段落し、来ていた柱3人に
運ばれて来た時は血の気が引いた。
宇髄さんは確かに入院はしているが元忍ということもあって毒に耐性はあったし傷も確実に治る。
同期の2人も竈門くんたちも入院しているがあなたさんよりは酷くない。
まだ安定して起きていられるようになるまで油断はできない。
あなたさんは煉獄さんのようになる、とよく言っていたけれど宇髄さん曰く戦う姿は煉獄さんそのものだったと。
こんなに才能溢れる子を絶対に死なせるものか。
胡蝶しのぶside終了