第44話
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また暫く経ったある日のこと
甘味処でみたらし団子をもぐもぐしていた時、成香がやってきた。
直ぐに残っていたお団子を食べきり、お会計をして○○村へと向かった。
日が沈んでから到着した。
○○村へは初めてやってきたけれど昼間ならきっと賑やかで楽しいんだろうなって感じの村。
鬼が出てると言うから外に人の気配はない。
自分の足音以外聞こえてこない。
麻耶ちゃんや菊葉ちゃんはもう家に帰っているだろうか
せっかく出来た友達なんだ
鬼なんて遭遇して欲しくない。
そう、考えていた時だった。
村のはずれから誰かが叫ぶ声がした。
屋根の上に飛び上がって声のした方へと急いで向かった。
そこには、菊葉ちゃんが鬼に捕まって今にも食べられてしまいそうな場面だった。
身体中の、血が沸騰したようだった。
けれど煉獄さんの
「心は熱く、けれど冷静に」
それを思い出し、
グンっと踏み込んで抜刀姿勢から
鬼の頸を狙ったはずだった。
なのに斬れたのは腕だけで
菊葉ちゃんを片腕で抱き抱え、日輪刀を片手で持ち鬼に向ける。
鬼の方をじっと見ていると菊葉ちゃんがガタガタ震えている。
きゅう、と抱きしめて
鬼はニヤニヤとこちらを見ている。
鬼から目を離さないようにして少し離れたところにいる麻耶ちゃんの所へと下がり、麻耶ちゃんと菊葉ちゃんを2人で座らせる。
バサりと羽織を脱いで
にこりと笑って立ち上がった。
そして菊葉ちゃん達に背を向けて
そう言って鬼に向かい
呼吸を高めていき、鬼に向かっていった。
菊葉side
最近、私の住む村に鬼が出るようになった。
大人達は口を揃えて
なんて言うようになった。
理由を聞けば
鬼は夜に活動をするらしく
人を見つければ襲いかかってくるらしい。
その鬼に勝つことが出来るのは
「鬼殺隊」
という国非公認の鬼を滅する部隊のみらしい。
友達の麻耶がそういった。
それから1週間、毎日「鬼殺隊」の人が何人か来るが鬼に勝てないらしく、鬼は出続けている。
大人達はヒソヒソとそんな話ばかりをする。
ある日の夜
麻耶と少し離れた街まで出かけていて村に帰ってきた時には真っ暗になっていた。
少し小走りで移動していたその時
突然後ろに引き寄せられた。
寒気がした。
だって私を引き寄せたのは
あの、
「鬼」
だったから。
思わず叫んだ。
近寄ってこようとする麻耶に
食べられてしまう
そう思った時だった。
久々に聞く声と同時に、その鬼と引き離された。