第54話
無一郎くんはズカズカと中に入ってきて私の前にしゃがみ、
ねぇ、いつまでめそめそしているの
ズビッ.......
無一郎くん、まだそっとしておいてあげて、
甘露寺さんも伊黒さんも優しくしすぎだよ
しかしあなたは、
嫌われるのが怖いの?
いやそんな事はないが.......
明日までにあなたを納得させるって2人がその役を買って出たんじゃん
この様子だと言ってないんじゃないの?
じゃないとあの事も知らせられないじゃないか
.......あの事?
けれどこんな状態じゃ言えないわ.......
2人が言わないなら僕が言うよ?
まて時透!
あなた、あの二人が君を甘やかしすぎた
無一郎くん!!
お願い、まだ!!
君は、
時透!!
お姉ちゃん達が無一郎くんを止めようとする。
ちょっと2人は黙っててよ
貴方たちがあなたのことを思うならなおのこと言うべきだろ
無一郎くんが2人をキッと睨んでからこちらを見て
あなた、君は次の炎柱となることが決定している
頭の中が、真っ白になった。
私が.......えん、ばし、ら
そう
煉獄さんがいた炎柱の席は空席だ
炎柱は炎の呼吸で甲で、
そして十二鬼月を倒している者がなることは知っているよね?
はい
炎柱が居なくなった今、
その条件を満たしているのはあなただけなんだよ
現にこの間も十二鬼月を倒したみたいだし?
えっ、
気づいていなかったのか?
俺との合同任務の時、下弦の参をあなたはたった1回の型を出しただけで、
一撃で倒しているんだ
.......
全く気づいていなかった。
煉獄さんがいないということを受け入れられなくて、
全てがどうでも良くて、
実力としては申し分ないんだよ
でも、私は、
炎柱にならないなんて言わないよね?
.......
どうなの
私.......
煉獄さんみたいに強くないです
あんなに、誇り高き精神なんてない.......
あんなに、強くない.......!
私なんかが、炎柱なんてなれません.......!
あなたちゃん、
拒否権なんてないんだよ
御館様は優しいから考えさせてくれるけれど
炎柱の席が空席だなんて許されない
でも、私は、
.......御館様に逆らうんだ?
ビクッ!!
無一郎くんの表情が無くなった。
声も、いつもより低い。
もういいよ
僕はあなたを買い被りすぎたみたいだ
たった1人の柱が居なくなっただけでここまでダメになるなんてね
無一郎くんは立ち上がって部屋から出ていく。
廊下に出た時、
二度と僕に話しかけないで
っ.......
そう言って無一郎くんは出ていってしまった。
うっ.......うあぁぁあぁぁあぁぁあ!!!
無一郎くんに嫌われた。
私が、弱いから。
あなたちゃん、
うあぁぁあぁぁあぁぁあ!!!
あなた、
涙が止まらなかった。
門の方から、
??
私ちょっと行ってくるわね、
伊黒さんあなたちゃんを少し頼んでも、
ああ。構わない
お姉ちゃんが部屋から出ていった。
伊黒さんが頭を撫でながら、
あなた、済まなかった
俺たちからもっと早く伝えるべきだった
ううっ.......
どうか、炎柱になってくれないか?
むり、です、
まだ煉獄の事が受け入れられないのもわかる
しかし時透も言ったように炎柱が空席となった今、一刻も早く次の炎柱を見つけないといけないんだ
でも、わたしは
あなたは充分強い
煉獄のような強さはこれからなっていけばいい
煉獄も甘露寺も元からあんなに強かったわけじゃない
柱となってからも努力を怠らないからだ
あなたちゃん、炭治郎くんが来てるんだけど、
あなた、
竈門さん.......
煉獄さんからの、言伝があって、
竈門さんのすごく体調が悪そうなのがわかる。
炭治郎くんも部屋に入って、
ありがとうございます
炭治郎くんは私の目の前に座って、
煉獄さんの任務に、俺も一緒に行ってたんだ
えっ
あなたに、伝えて欲しいことがあるって言われてる
私に.......?ズビッ
ああ
お姉ちゃんも伊黒さんも入口に座って私たちの様子を見てくれている。
煉獄さんはあなたに、
「次の炎柱は頼んだ」
「あなたは充分強い、もう俺の教えなどいらない。自信を持ちなさい」
そう言っていた
ぶわりと涙がまた溢れてきた。
俺より年下なのに、階級は甲になっていると聞いた
ズビッ.......
どうか.......
煉獄さんの意志を継いで欲しい
うぅ.......グズッ
「心を燃やせ」
!!
俺達に、煉獄さんから言われたことなんだ
あなたは煉獄さんに色々と教わっていたんだろ?
コクリ
なら今のも、
はい、
よく、言われてました.......
俺は炎の呼吸を使っていない
けどあなたは使っているだろ?
煉獄さんの意志を、
煉獄さんの願いをどうか未来に紡いでいって欲しい
意志を、
ああ
頼む.......いててて、
ごめんな、もっと話ししたいんだけどそろそろ蝶屋敷に戻らないと、
そういって竈門さんは立ち上がってヨロヨロと屋敷から出ていった。
シェア&お気に入りしよう!
この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

- 活動報告
update 1日前独り言
焔風の独り言しか出てこないです くっだらないこととか、 こちらではリクエスト、質問等受け付けておりません。
visibility 99grade 4favorite_border 21 - 活動報告
update 2021/02/18報告部屋
アンケートとか作品の報告が出来ればと作りました! お気軽にコメントどうぞー!
visibility 831grade 5favorite_border 50 - ファンタジー
update 2021/01/21孤独な雷鳴
時は大正。 ある有名な御屋敷が鬼に襲われた。 生き残ったのはその家の娘だけ。 天涯孤独となったその娘は鬼殺隊に入り、家族を襲った鬼を探す。 ……絶対に、許さない。 鳴柱……それは誰よりも速く雷の如く鬼の頚を斬る者 ※捏造でしかないです!! ※ご都合血鬼術でます! ※宇髄さんに嫁いない設定! ※↑嫁たちは宇髄さんの妹設定! 見るのは自己責任! 少しでも合わないと思ったらサヨウナラ! 自己満小説ですので!! 予想はしていただいて構いませんがそれをコメントしないでください、 物語が描きにくくなります………
visibility 214,919grade 243favorite_border 5,541
- ファンタジー
update 10分前転生したらとある国の悪役お嬢様になってたんだけども!?
lock フォロワー限定visibility 195grade 11favorite_border 40 - ファンタジー
update 15分前氷の国の王女様は日々奮闘中
※名前はカタカナ推奨 氷の国に王女として生まれたあなた そこからNRCに入学し、氷の女王に基づく寮を作るために奮闘するお話
visibility 4,571grade 47favorite_border 166 - ファンタジー
update 18分前金色の悪魔
選ばれた者だけが憑かれる悪魔という生き物。あなたも選ばれし者である。
visibility 11grade 2favorite_border 3

- ファンタジー
update 2020/12/29幸せは檻の中。
創造主の力を抱いて産まれた少女。 神の力と等しい力を持って生を受けた少女。 自身に神を宿している少女は、飼い主の元から逃げ出した。 神が創り出す運命は、少女が生み出す運命は、一体何処を向くのだろうか_____
visibility 29,788grade 159favorite_border 858 - 青春・学園
update 2020/01/14余命3ヶ月しか生きられない私を、キミはまだ知らない
窓際の斜め後ろに座るキミ。 アナタはいつも、何を考えてるの? 笑顔が消えたあの日から アナタの目には今何が映っているのでしょう。 これは、余命3ヶ月の私と、何も知らないキミとの3ヶ月間の物語。
visibility 7,361grade 100favorite_border 148 - 恋愛
update 2020/08/05嘘つきと大嘘つき
(※誤字脱字によりストーリーがわかりにくくなっている場合があるので、読み終えた方は「解説」をご覧いただけると幸いです) 嘘。 全部嘘。 なにも残らない恋は したくないよ。
visibility 7,738grade 35favorite_border 219