第9話

余裕



〈玲於side〉


あなたさんとすげぇ顔が近くて

ドアに向かう途中でもずっと
心臓がバクバクしてて



なんだよあの状況、、、



顔が赤くなってないか心配しながら
ドアを開けたら
そこに立ってたのは涼太くんで
玲於
玲於
あ、涼太くん
涼太
涼太
あなた、迎えに来た


………もし今涼太くんが来なかったら
俺はどうなってた、、、??



彼氏が居るなんて、そんなの関係ない。

とかすげぇ馬鹿みたいなこと考えてたかも





申し訳なさそうな顔をして
リビングから歩いてくるあなたさん
涼太
涼太
あなた、ごめん。
……帰ろ?
貴方
貴方
………うん


洋服、洗って返すね。
ってあなたさんが言った後


手繋いで出てった二人
玲於
玲於
…そうだよな



そう。
いくら喧嘩したって、
結局あなたさんの隣に居るのは涼太くん



んなこと分かってるけど

たまにそこから目を逸らしてしまいそうな俺がいる



こんなこと思ってもきりがなくて


俺が勝手にドキドキして、
こうやって落ち込むだけ。


あなたさんに影響なんてあるわけない。



そんな現実を改めて見せられた俺は

さっきまでの雰囲気はとっくに消えたリビングに行ってテレビを見た





〈あなたside〉



家までの帰り道手繋いで


暗かったからジャージで大丈夫だった
貴方
貴方
…………ごめんね
涼太
涼太
いや…俺こそ。

ごめん


そこまで言うとまた静かになる
涼太
涼太
………俺さ
貴方
貴方
ん、?

涼太が遠くの方見つめながらそう話しだす
涼太
涼太
正直、あなたと付き合った時から
すごい不安だった。
涼太
涼太
玲於のこと好きなの知ってたのに
弱ってる所に漬け込んで、、


………そう。確かあれは

私と涼太がご飯を食べに行った時



‐回想‐



その時玲於の事が好きだった私は
結構な頻度で、涼太に相談してた
涼太
涼太
さぁ、今日はなんのご相談で?笑
貴方
貴方
相談、、、というか、

……私、玲於に告白しようと思って
涼太
涼太
あ、そうなんだ、、
貴方
貴方
だから、その、、
応援してほしいな。って……
涼太
涼太
、うん!もちろん、!

告白のことしか頭になかった私は
この時にぎこちない笑顔の涼太には気付かなくて
貴方
貴方
ありがとう、!

明日……してみる
涼太
涼太
おう、!


いつもみたいに相談が終わってお店を出て

そこから近い私の家に帰ってる途中
涼太
涼太
……あれ…


涼太が車道を挟んだ向こう側の歩道を見て
そんな言葉
貴方
貴方
んー?


その方向を見て


私の目に飛び込んできたのは



可愛い女の子と楽しく喋りながら歩いてる玲於の姿


しばらく見てたら

女の子が玲於に耳打ちして、二人で微笑んで
アクセサリー屋に入っていって
貴方
貴方
……………そっ……か


あー、そういうことか。って


いつも喋りかけると冷たくて。
いつも携帯見てて。

あんなに幸せそうな玲於初めて見た




気づいたら涙が出てて
涼太
涼太
えっ、ちょ、大丈夫……じゃないか


…とりあえず行こ

って私の肩支えて歩き出す涼太



そのまま私の家に帰って

泣き止むまで側にいてくれた涼太


泣きやんで
涼太
涼太
もう…大丈夫?
貴方
貴方
うん…ありがとう


そう言って涼太を見たら

すぐに視界が暗くなって
涼太
涼太
………あーもう、本当にごめん
貴方
貴方
え…??
涼太
涼太
本当はこんな時に言いたくなかったけど…
………………俺、あなたちゃんが好き


そう言われた時
すごいびっくりしたけど


そう思ってたのに
今までずっと相談に乗ってくれてたり
この時も泣き止むまで側に居てくれたり

それに………ここで断ったら
この先玲於を諦めることが出来ない気がして



我儘で自分勝手な私だけど
涼太の気持ちに答えたんだ



‐回想‐end
貴方
貴方
…確かにあの時はそうだけど
私はちゃんと涼太の方向いてるよ
涼太
涼太
……勝手に怒ってごめん
貴方
貴方
こっちも、ごめんね


そうやってお互い謝って


だんだん家が見えてきた



家に着いて
貴方
貴方
ただいま
涼太
涼太
おかえり


少し帰らなかっただけで懐かしく感じる

……なんて
貴方
貴方
お風呂入るね!
涼太
涼太
…あのさ!
貴方
貴方
ん、?
涼太
涼太
……玲於に何もされなかった、、?
貴方
貴方
、、え?
涼太
涼太
、いや、!なんでもない!


ごめん!
お風呂行ってきて!

って半強制的にお風呂に入れられて





”玲於に何もされなかった、、?”



………なんでだろう。

どうしてすぐに

”何もされてないよ”
って言えなかったの、?
確かにハプニングは起きたけど

何もされてないよ。って

すぐ言えるのは言えると思うのに


言えなくなってるのは

心の中であの存在が大きくなってるってことで



その時の私はまだ気付く余裕が無かった





〈涼太side〉


あなたをお風呂に押し込んでから


色々考える




今の状態は
ただ俺の感情を押し付けてるだけな気がして
涼太
涼太
……はぁぁ

こんなのカップルじゃない。
ってお互い分かってるんだと思う






考えれば考えるほど分からなくなってきて




とりあえず今のままでいいか

なんて思う俺は相当余裕がない