第10話

一回だけ



〈あなたside〉


昨日はあっさりと仲直りしたけど

どこかまだぎこちない。




でも、今日の朝はいつもと変わらない感じで
普通に話して、笑って


二人で家を出る
涼太
涼太
今日は撮影かな?
貴方
貴方
うん!
2つ入ってるから、笑
涼太
涼太
うわー、まじか。

じゃあ一人2つ考えなきゃじゃん
貴方
貴方
そうなるね、笑

まぁでも大丈夫だよ!


そんな会話をしながら
会社につく
涼太
涼太
おはよーございまーす
貴方
貴方
おはようございます
龍友
龍友
お、おはよう
隼
あれ!!
ふたりとも仲直りしたんふか?!


おにぎりを口いっぱいに詰め込んでる
隼が必死に聞いてくる
貴方
貴方
あ、しました…

迷惑かけてごめんなさい…
亜嵐
亜嵐
あー、良かった良かった
涼太
涼太
ごめんね
裕太
裕太
いや全然気にせんでええよ笑
仕方ないことやし


皆が優しくて良かった、
って涼太と笑いあって



ふと目線を動かしたら玲於と目が合う



そしたら、ん?って顔で見てくる玲於


首を横に振って目線を戻す



……なんだろう。この気持ち
涼太
涼太
ん?あなた?
どうした?
貴方
貴方
………。
涼太
涼太
あなたーー?
貴方
貴方
…あ、ん?
涼太
涼太
どうした?
貴方
貴方
え?
涼太
涼太
ボーッってしてた
貴方
貴方
そう?
ごめん、笑
涼太
涼太
いや、大丈夫なら良いんだけど、笑



……涼太、気を遣ってる。



分かってる。自分でも。

でもこんなこと思ってしまうのは
世間一般では駄目なことで。
涼太
涼太
……よし、
どっか出掛けよっか
貴方
貴方
え?
涼太
涼太
今度、OFFの日。
どっか行こ
涼太
涼太
どこに行きたい?
貴方
貴方
んー………海!
涼太
涼太
海?笑
肌寒いけど大丈夫?笑
貴方
貴方
大丈夫!笑
涼太
涼太
分かった。
行こうね

うん!
って返事して



一つ思ったのは

涼太はきっと、
私の気持ちに気付いてて。


でも私がはっきりしないから
もう流れに任せてるんだ。って




そんなの…

私すごく失礼なことしてる。
龍友
龍友
なになに、
二人とも海行くん?
涼太
涼太
うん!
メンディー
メンディー
寒くない?笑
貴方
貴方
良いの良いの。
これくらいが丁度良いよ笑
亜嵐
亜嵐
楽しんで、笑
涼太
涼太
ありがとう笑


楽屋の雰囲気が
いつもみたいに戻って




涼太と二人で微笑んだ







〈玲於side〉



海行こっか!

ってもうすっかりカップルに戻った二人



喧嘩するほど仲が良い。

ってよくいうから、



もう俺の入る隙はないか。
とか思ったりして
玲於
玲於
隼、
隼
んー?
玲於
玲於
今日飲み行こ
隼
いいよー
玲於
玲於
ありがと。

……つかお前何個おにぎり食ってんの?
隼
んー?
えっとね、これで3個目
玲於
玲於
食いすぎじゃね…??

そんなんだから俺に
金髪豚野郎。って言われんだよ
隼
良いもん。
玲於のは慣れてるから。



そんなこと言う隼。
玲於
玲於
……あなたさん
貴方
貴方
んー?
玲於
玲於
隼、こんなおにぎり食ったら
太りますよね
貴方
貴方
……そうだね…笑

最近ヘアメイクしてて、隼くん太った?
って思ってた、笑
隼
えっ………
玲於
玲於
ほらね。
遂にあなたさんに
金髪豚野郎って呼ばれる日もそう遠くない笑



いいもん!俺痩せるもん!

って保育園児みたいに騒いでる隼。




それから仕事の時も結構うるさくて、笑




撮影が終わってから
亜嵐
亜嵐
隼、太った太った、って
うるさかったんだけど笑
隼
だって!言っとかないと
カメラマンさんに
あれ…こいつ太ってね…??
って心の中で思われるの嫌じゃないすか
龍友
龍友
いやでもずっとやん。

俺、太ってますから!
でもちゃんと痩せるんで!!
って言うてた笑
裕太
裕太
カメラマンさん困ってたで、笑
隼
もーー!
痩せるからぁぁぁ!!笑
玲於
玲於
はいはい。がんばって。
飲み行くよ
隼
よし、行こ
龍友
龍友
いや痩せろや笑


あーもう何も聞こえなーい
レモンサワーが俺を待ってる

ってゴチャゴチャ言いながら楽屋を出る隼
玲於
玲於
お疲れ様したー、笑
亜嵐
亜嵐
お疲れー笑



前を歩く隼に追いついて

いつもの店に向かう


慣れた雰囲気で
個室に案内されて


頼むのはやっぱりレモンサワー
隼
はー、明日から痩せるから。
玲於
玲於
はいはい、笑


レモンサワーが来てから乾杯して

隼
あのさ玲於
玲於
玲於
ん?
隼
その……
まだあなたさんのこと好きなの?
玲於
玲於
…………まぁ…ね


そんな質問。
本当はこう答えるべきじゃないんだろうけど

玲於
玲於
やっぱ諦めきれない


なんて答える
隼
……だってさ、ずっと片思いじゃん?
玲於
玲於
まぁね
隼
しかも彼氏持ち………

それでも?
玲於
玲於
…うん
隼
…他にも女の人は沢山いるよ

もっと周り見てみなよ
玲於
玲於
それ、前に言われてさ。
そう努力したけど無理だった



しかも、まだあなたさんが涼太くんと付き合う前



あなたさんの誕生日プレゼントで、
何が良いか分かんなくて。


結構有名なスタイリストさんと
アクセサリー屋に見に行った



スタイリストさんは
店に入る前



俺の耳に
”玲於があなたちゃんのこと好きなの知ってるよ”
って言ってきて


驚いて目を合わせたら微笑まれて

バレてた。って気付いたら俺も恥ずかしくなって
照れ笑い



でもその後
店の中のショーケースを見てたら


お店の外に見慣れた姿が居て




よく見たら
肩組んで歩いてるあなたさんと涼太くんで



……あーあ。そういうことか


あのキャラの涼太くんは
すごくあなたさんと仲が良くて
いつも二人で笑ってた



そう思ったら一気に力が抜けて


スタイリストさんが選んだものを買った




結局そのアクセサリーは渡せてなくて


気付いたらあの二人は付き合ってた
玲於
玲於
やっぱあの二人が
付き合う運命だったんだよ
隼
んー、そっかー
玲於
玲於
俺には片思いで十分


って、そんな訳無いのに

精一杯の強がり
隼
俺、紹介しよっか。
玲於
玲於
何を?
隼
え、女の子。


いや、俺人見知りだし
玲於
玲於
無理、俺人見知り。
隼
いーから。
一回会うだけ会ってみなよ



…めんどくせぇ
隼
うわ、
今めんどくせぇって思ったでしょ
玲於
玲於
うん
隼
大丈夫、きっと気が合うよ。

じゃあ空いてる日言って、
俺がセッティングするわ


ってカッコつけて
レモンサワー飲む隼。
玲於
玲於
……一回だけな



でもこの”一回だけ”が

色んなことを引き起こす原因になるなんて

思ってなかった