殺風景な道をただひたすら進む。
そして意外な事に私の手は握られたままだが
2人で会話をするだけで、私へは下手に絡んで来ない
それが逆になんか気持ち悪くて
言葉を発したが最後。
三つ編み男の方、灰谷蘭がニコニコと
なんて嬉しそうに振り向いてくる。
別に大した事言おうとしてないんだけど…
まぁ、いいや。聞かなきゃ話なんて進まない
その問いに灰谷蘭は
とか言いながらまた歩き進める
なにその、ガキみたいな言い方
弟の竜胆とか言う奴の方が大人だな
……なんでバレた。
お前何歳だよ。
ウインクしながらポーズ決めてきたんだけど。
不思議。
コイツとは気が合いそう。
知らないけど
"氷の姫"
おとぎ話や、映画の中でならきっと
妖艶で、儚げで。
それはそれは美しい物語として成り立つだろう。
けど、私に与えられた異名はそんなものでは無い。
空気が凍る様な発言をしているにも拘わらず
彼らは笑って
「行くぞー!!」なんて言いながら
私の手を引いて進み始める。
少し…、ほんの少しだけ、
暖かな灯火が心に触れた気がした。
そう。きっと気がしただけなんだ。
簡単に絆される程、私は馬鹿な女では無いの。
そして
赤い特服に、耳飾り。
そして私とよく似たシルバーの髪
彼は振り向きニコリと笑う
あたかも、知り合いの様に言い放つ彼の瞳には
しっかりと私が映し出されている。
けど、私は彼の事を一切知らないし
何処かで会っていたとしても興味を唆られる事は無い
▷▶︎▷▶︎空桜🦢🌿