第37話

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2019/07/07 11:30
振り向くとそこには…
光莉 (彩)
エリス…?中也…?
エリス
エリス
彩っ!!!
エリスが駆け寄り、私の躰に抱きついた。


エリスの後ろでは中也が優しく微笑んでいた。
中原中也
中原中也
彩 。


ただ、声を聞いただけなのに。




胸がギュッと締め付けられるような感覚になる。








目の奥が熱くなって
気づいた時には涙が溢れていた…
光莉 (彩)
…っ如何して涙が出てくるんだろ…
おかしいなぁ。
涙を誤魔化そうとしても涙は流れるのを止めない。

発している声は震えていた。





中原中也
中原中也
彩。久しぶりだな
中也は私に近寄り、頭をポンポンと撫でる。
光莉 (彩)
ううっ…。

心の底にあった、
いつも閉じ込めていたあの思いが込み上げてきて、
私は涙を止めることが出来なかった。



その時、中也は周りの人からの視線に気づいた。
中原中也
中原中也
彩、とりあえず場所を変えよう。





私は中也に手を引かれ、薄暗い路地へ来た。







中原中也
中原中也
… 落ち着いたか?
光莉 (彩)
うん。…ごめんね。急に泣いたりして
光莉 (彩)
それより、2人はなんで此処に?
エリス
エリス
彩に会いに来たのよ。
光莉 (彩)
私に…?
エリス
エリス
…単刀直入に云うんだけど、
彩、ポートマフィアに戻ってこない?
光莉 (彩)
…!!
光莉 (彩)
私も、…戻りたい。でも
エリス
エリス
でも?
光莉 (彩)
兄さんが… 探偵社にいるの。
中原中也
中原中也
!!!
光莉 (彩)
忘れていた記憶も取り戻した…。
光莉 (彩)
私に親切にしてくれた先輩もいる…。
光莉 (彩)
ポートマフィアに戻りたいはずなのに、
戻りたくないって云ってる自分がいるの…っ!
エリス
エリス
彩 …。
光莉 (彩)
… でも 今日、エリスと中也に会って、探偵社では感じられなかった安心感があった。心の底から込み上げてくるものがあった…。矢っ張り 戻りたいって思った!
光莉 (彩)
自分が何なのか… 如何したいのか…
光莉 (彩)
何もかも分からない…!
中原中也
中原中也
…あんまり、ごちゃごちゃ考えんな。
中原中也
中原中也
彩は何がしてェんだ?
1番に叶えたいのはなんだ?
光莉 (彩)
私、が…
光莉 (彩)
1番に …叶えたいことは…
光莉 (彩)
(頭が、ズキズキ痛い…っ。)
光莉 (彩)
うっ …。



バタンッ!!
中原中也
中原中也
彩っ!?!?
エリス
エリス
彩っ!しっかり!!



中也とエリスが私の名前を呼んでいるのが聞こえたが、私はそのまま意識を手放した…






















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目覚めると不思議な空間にいた。
何処を向いても真っ白で、何も無い不思議な空間に…。











私の前に1人の見知らぬ女性が現れた。
フードを被っていて顔は見えない。
















???
願いは全て叶えることは出来ない。
…でも、貴女の異能なら可能でしょう?
???
異能を使うのを拒むなら、私達の組織に来なさい。
そうすれば 幸せになれるわ。





囁くようにそう云った女性は、不敵な笑みを浮かべて
消えた。












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