第2話

スキ.
332
2018/08/08 06:07
Day1. 
PM:)21:26
今日、私は一目惚れをしました。
ずっと恋していなかった私に新たな出会い。
あの人が、スキ。
ーーーーーー
数時間前_
私は長くなった前髪を揺らしながら、美容院にやってきた。
私は、2ヶ月の頻度で髪を切ってる。
前回からちょうど2ヶ月経った今日。
散髪しに、美容院にやって来た。
お店は前回と違い、私1人。
あなた

すみませ〜ん…

カウンターのお姉さんに声をかける。
いつも美容室に来て、1番に見る顔だ。
するとお姉さんは、私の顔を見るとにこりと微笑み、なにかの資料をめくった。
お姉さん
指名はしてませんよね?
あなた

はい。

お姉さん
では、そちらに椅子に座ってお待ちください。
私は言われた通り、椅子に座って待つ。
私しかお客がいない美容室は、和やかなBGMのおかげか、優しい雰囲気を放っていた。
まぁ、都合上予約ができなくてこんな時間ってことでお客さんがいないっていうのもあるけど…。
そんなことを思いながらスマホを取り出して、ゲームでもしようかなと思っていたら…
私を覆う黒い影が、
視界が暗くなったことにより、私は前の人に気づき、上を向く。
???
こんにちは。
???
今日担当致します、
"こぼかた"と申します。
あなた

あっ…は、はい。

思わず言葉を失った。
こぼ さん
こぼ さん
あなた様ですね?
では、こちらへ。
なんかの髪を見ながら、そう言うこぼさん。
イケメン…
胸の高鳴りをそのままに、私はこぼさんについて行った。
こぼ さん
こぼ さん
こちらへどうぞ。
こぼさんが、慣れた手つきで"クルっ"と椅子の向きをかえる。
あなた

はぃ…

私は、用意された椅子に座る。
こぼ さん
こぼ さん
今回は、どうなさいますか?
あなた

え、えっと…

あなた

お、おまかせで…

特に要望のなかった私は、初めて"おまかせ"という選択に出てみる。
こぼ さん
こぼ さん
かしこまりました。
では
完成はお楽しみということで。
こぼさんは、頬を優しく緩めた。
最初にシャンプーをし、カットにうつる。
こぼ さん
こぼ さん
あなたちゃんの、好きなことは?
いきなり馴れ馴れしくて、ドキッとする。
こぼさんが、鏡ごしに私を見て目が合う。
あなた

えっと…
写真を撮る…ことです。
あっ、あと英語を話すことも…
好きです。

こぼ さん
こぼ さん
えっ!?ほんまにぃ!?
こぼさんの口からいきなり関西弁が出てくる。
あなた

!?

こぼ さん
こぼ さん
あっ!ごめんなさい!
実は僕、つい最近上京してきたばっかりで…
こぼ さん
こぼ さん
まだ、なれてなくて (苦笑
そう言われれば、イントネーションが少し違うような気がする。
あなた

そうなんですね、でも…
素敵ですよ、関西弁♪

私は、ニコッと笑う。
あなた

どうしてなんですか?

こぼ さん
こぼ さん
どうしてもこっちで働きたくて
こぼ さん
こぼ さん
先週から、ここで働かせてもらってます。
だから、見ない顔だと思ったわけだ。
こぼさんは、太陽のような眩しい笑顔を、私におくった。
こぼ さん
こぼ さん
実を言うと、あなたちゃんが僕の2番目のお客さん♪
あなた

へぇ〜

1番目は…
誰なんだろう?
友達?
彼女?
止まらない疑問。
こぼ さん
こぼ さん
どうしたん?
すごい険しい顔してたよ?(笑
そういうこぼさんの声に、はっとする。
変な顔をしてたと想像すると、恥ずかしくて赤面。
こぼ さん
こぼ さん
次は顔、真っ赤。
どないしたん…ってあっ
違うわ。
どうしたの?
ぐいっとこぼさんの綺麗な顔が迫ってくる。
あなた

いやなんでもないです…///

こぼ さん
こぼ さん
それならいいんだけど…
こぼさんはふっと笑って私から顔を離した。
こぼ さん
こぼ さん
んーじゃあ、次!
髪乾かして行きマース。
あなた

はいっ!

気持ちがバレないように、私はわざと明るく言った。
???
こぼさん、手伝いますね。
横から男の人が、入ってくきて手際よくドライヤーをセットする。
こぼ さん
こぼ さん
おぉたくま、ありがとぉ!
たくま さん
たくま さん
いえいえ。
たくま…さんかぁ。
この人も、この前までいなかったな…
なんでこんな美形が、こんな田舎に集まったの…?!
奇跡かぁ!?
こぼ さん
こぼ さん
なぁ、たくま?
このコヤバいんよ!
たくま さん
たくま さん
どうしたんすか?
こぼ さん
こぼ さん
英語話すこと、得意らしいで!
なぁ?あなたちゃん?
あなた

は、はい!

私は、必死すぎて大きく首を振りながらそう言った。
たくま さん
たくま さん
へぇ、俺も一応英検は2級まで持ってるよ〜。
気さくに話しかけてくれる、たくまさんに胸がパチンと弾ける。
あなた

すごい!!!

こぼ さん
こぼ さん
すご、たくま!
俺、英語とか分からんわ〜(笑
そんな他愛のない会話を楽しんだ。
こぼ さん
こぼ さん
は〜い!乾かし終わったでぇ〜
なぁ?あなたちゃん???
あなた

はい?

こぼ さん
こぼ さん
せっかくやから髪、巻いてかない?
こぼさんが、私の顔をのぞき込むからバチッと目が合う。
あなた

ぇ…???

たくま さん
たくま さん
いいアイディアっすね。
似合いそう。
私が答えを出すまもなく、こぼさんが準備を始める。
数分後_
こぼ さん
こぼ さん
できたぁ〜!
あなた

ぅ、うわぁ〜っ。すごい…

髪なんて、まともに巻いたことなかったから、すごく新鮮な気分が私の心を包む。
たくま さん
たくま さん
おっ、めっちゃ可愛い。
たくまさんのストレートな言葉に胸を撃たれる。
こぼ さん
こぼ さん
はいっ、完成でございます。
そう言ったこぼさんが、ニコッと笑いながら、私の髪に鏡をあてる。
あなた

あ、ありがとうございますっ!

髪型を切るだけで、こんなにドキドキしたことはなかった。
たくま さん
たくま さん
可愛い。似合ってる。
素っ気ないけど、優しい言葉。
そんなたくまさんが、可愛い。
ーーーーーー
あなた

今日はありがとうございました。

私は、美容院の前でこぼさんとたくまさんにペコペコ頭を下げた。
こぼ さん
こぼ さん
次俺を指名してくれるんやろ?
冗談混じりで、クスッと笑うこぼさん。
たくま さん
たくま さん
いや、俺だよな?
真面目にそう言われると、恥ずかしいんだけど…
あなた

迷いますね(笑

こぼ さん
こぼ さん
あ、そういえば俺全然大阪弁で喋ってたわ(笑
あなたちゃんはお客様なのに、
あなた

そんなの気にしないでください!

たくま さん
たくま さん
じゃ ありがとうございました。
礼儀正しくペコッと深いお辞儀をするたくまさん。
あなた

こちらこそ、
ありがとうございました。

私は、ペコペコとお辞儀を繰り返す。
ーーーーーー
そんなこんなで私、あなたは…
一目惚れしてしまいました。

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