そんなのぞみの言葉が恐ろしくなって教室から逃げ出した。
『まさか私の能力を利用するつもりじゃ…』
私は昔大人達に利用された事を思い出し震えた。涙も出てきた。ただ恐ろしくなって。
──ドンッ
──ぶつかったのは奏だった。
急に私の手を掴み、
「ユメ、どうしたんだよ。」
事情を説明しても私の秘密を知る人物が増えるだけだと怖くなって奏を突き飛ばした。
学校を出た後も落ち着いていられなかった。親友がのぞみがあの言葉を言った時の顔が頭から離れなかった。
──朝。いつもと違う朝。
私はろくに寝ることができなかった、浅い眠りを繰り返し、時計を見ると朝のー
「8時!?」
「いってきます!」
重い心を引きずりながらも私は学校へ行かなければならない。親に心配はかけられない。
「お、おはよう、みんな」
私はみんなにいつも通りあいさつしたが、のぞみには近づけなかった。のぞみも私には近づこうとしなかった。
もちろん奏も──
2人と話さない日が3日続いたある1日。この日は文化祭まであと1週間だ。
私はこの3日間のぞみ・奏と1回も話さなかった。それはあの事件を忘れるぐらい寂しかった
し、前のように2人で話したい。
でも私は何も声をかけられなかった。
今日もダメだったと下駄箱を開けると1通の手紙。
『話したいことある、教室に来て のぞみ』
胸が高鳴ったのが分かった。やっとやっとのぞみと仲違いを解消するチャンスがやってきたと
階段をかけ上がり教室に入った。
そこにいたのは、歪んだ笑みを浮かべた親友の姿だった。
のぞみは叫んだ
「ユメ奏くんとのぞみが恋人になる夢を!」
ショックだった親友のこんな顔見たくなかった。
遠のく意識の中…のぞみの歪んだ笑み、
──あれ、何かに驚いて、る…?
私はそのまま意識を手放した
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。