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5年前______________________________
イヌピー視点
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3年ぐらいのチビが柵の上に乗ってた
そしたらそいつは次の瞬間
バシャンッ
声を上げながら飛び込んだ
遠くから見てただけだけど
そいつが飛び込んで行った姿は綺麗だった
あのアレだアレこの前赤音が本で読んでた
人魚姫!
飛び込んで行ったそいつは人魚みたいだった
俺は気づいたら体が動いてた
バシャンッ
そいつを助けなきゃって本能で思った
周りを見渡すとそいつは水の上に浮かんでボーットしてた
俺が声をかけたらビクッて驚いてた
こいつは猫を助けたくて飛び込んだらしい
その後そいつは溺れた猫について話し始めた
その時の顔は一生忘れない…忘れられないくらい
哀しそうで何もなかった
でも優しいやつってのはわかった
そいつはあなたって言うらしい
あなたは俺の2つ下
あなたは笑顔で俺のことを「青宗お兄ちゃん」
って呼んだ
なんか恥ずかしかった
その後あなたは俺が照れてるなんてからかってきた
照れてねえし
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!