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大きな広間に入ると私達二人以外は既に集まっていた
丁度出久の隣が空いていたのでそこに座る
そう言って右手で軽く拳を作る
それを見て出久は笑みを零す
出久と話している間に話題はどうやら私と勝己のことになっていたらしい
ビールを二口飲み干してからゆっくりと口を開く
何も変わってないんだな、ほんと
ホッとして飲むスピードはどんどん早くなる
駄目だ、頭がフワフワしてよく聞こえない
そして私は深い眠りに落ちた
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僕の小さな独り言を拾ったのは、あなたちゃんの彼氏
卒業と共に吹っ切れた想いだとしても、羨ましく思ってしまう自分がいる
お開きの時間となり、バラバラと帰り始める中、僕はかっちゃんに話しかけた
背中におぶるあなたちゃんを見て目を細めるかっちゃん
僕はこれから、新しい恋を始める為に
一人、彼女の背中に呟いた
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!