第7話

自宅
67
2022/02/12 17:17
駿佑は私に対して質問しなかった。

何があったか,

どうして公園にいたのか

なぜ家に帰らなかったのか。





駿佑ならきっと分かってくれている。

きっと,きっと。

私はそんな事を思いながら

雨の中,家に帰った。
駿佑
じゃあな。
あんまり心配かけんなよっ
玄関に着くと
駿佑は,私に笑顔で振る舞った。
優奈
ありがとう。送ってくれて。
私はそんな駿佑に感謝し,

少しうつむきながら笑顔で接した。
優奈
お母さん,ただいま。
優奈..どこに行ってたの!?
心配したんだよ。。
母は泣いていた。

出掛けてくるといいながら

7時間も経っていた。


1時に出かけたのに,もう8時だなんて。


何やってたんだろうな,私。
優奈
ごめんなさい。
8時になっても帰ってこないから
私,優奈が思い詰めて..。
あなたを失うかと思ったら..。
母はまた涙をこぼした。

1つ,また1つと大粒を頬に流した。
私は左手にかかえていた薔薇を思い出した。

そして,母に

しなれ,汚れている薔薇をさしだした。

優奈
あっ。これ。
今日,母の日だからさ!!
いつもありがとう。
優奈,ありがとう。
母は,嬉しそうに笑顔で

”ありがとう”と言った。

私はびっくりした。

思っていた予想と全く違っていたから。



しなれているのに。

汚れているのに。

母は,まるで私を見つめるような笑顔で

その薔薇を見つめている。
優奈
良かった。
んっ?何が?
優奈
そんなもの,嬉しくないんじゃないかって。
ごめんね。そんなもので。
そんなものって,優奈から貰ったんだから
もう私のよ?そんなものなんかじゃない。
こんなに綺麗な薔薇,すっごく嬉しい。
私は嬉しかった。

本当に,”こんなもの”ってものなのに

綺麗って言ってくれて

私のものって,喜んでくれて。

大切にしなきゃ。

親孝行しなきゃ。

もう迷惑なんか,かけられない。

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