第5話

風華の憂鬱
57
2020/02/26 11:01
もう真莉が休んで2週間になる。
真莉の家は一駅先の住宅街にある。明日は休みだし、遠慮されたけどダメ元でも行ってみよう。
わざわざそこまで来たら真莉の母親も諦めて入れてくれるかもしれない。
会って、話して、パーっと遊べば、大抵はなんとかなる。
鬱だって、そんなものなんじゃないのか。
風華はそんなことをかんがえながら静かに眠りに落ちていった。




……視界の末端がぼやけている。
頭もクラクラしてとても起き上がれる気がしない。
明瞭でない視界の中、目を凝らした。
風華
ここは…私の部屋じゃない…?
そして重い鉛のような身体を起こすも、いつもと何かが違う。
風華
いった……、なにこれ!?
左手に力を入れるとキリキリと痛む腕。
着たことのない寝巻きの袖をめくると、そこにはぱっくりと傷口が開いていた。
どうやら切って間もないようで、血が寝巻きにシミを作っていた。
そして、俯くとふぁさ、と、私の毛にしてはとても短い後ろ毛が視界に顔を出す。




もしかして…と思い、あかりをつけて全身鏡で自分の姿を確認した。

風華
真…莉

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