第4話

発覚
66
2020/02/26 06:32
突然のことだった。
風華
もしもし?
真奈美
あ、風華ちゃん…真莉から聞いてると思うんだけどね、最近ひどいのよね、症状が…
症状?ああ、もう休み始めて1週間になる。
インフルだとしたらもう戻ってもいい頃だ。
私は、お節介気味の真莉の母親が電話をかけてくるときは緊急事態だと察していた。
しかし、今までずっと休んでいた長さが長さではあったものの、前日まではクラス中に響き渡るような声で爆笑したり、全くそのような節は感じられない。
風華
真莉がどうかしたんですか?家まで行きましょうか?
真奈美
あら、聞いてないの?風華ちゃんには伝えなさいよって言ったのに
真莉の母親は疲労感に苛まれたような声で、「鬱になっちゃってね」とため息混じりに吐いた。
私は驚いた。あんなに人の苦労も考えたことがなさそうな真莉が、精神を病むという事実に驚愕したのだ。
真奈美
家に来ると…またあの子無理するだろうし…風華ちゃんにも悪いし
風華
いいんですよ、
真奈美
いや、いいのよ。
真奈美
少し、風華ちゃんが今真莉についてどんなこと考えてるのかなって思ったけど、そう、しらなかったのね。
風華
は、はあ…
真莉の母親は真莉が回復してきたらまた遊びにいらっしゃい、と言って、穏やかに電話を終えた。
私は緊急事態でなかったことには多少の安堵を浮かべたが、真莉が鬱病という事実は、払拭できない驚愕の事実であった。

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