第2話

真莉の憂鬱
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2020/03/02 02:09





しかし、彼女に異変が起きた。

真莉の様子には今までそのような態度は微塵も感じていなかった。
しかし、ある日の朝、校庭を歩いていても、背後を取って突進し眩しいほどの笑顔で挨拶をするような人間は誰もいなかった。
真莉はああいう性格でありながら真面目なので、遅刻なんかするようなヘタレではない。

授業を全部終えて帰宅した頃、携帯の通知が届く。
真莉
熱出た〜(T . T)
なんだ。そういうことか。
風華
バカは風邪ひかないとか言ってなかったっけ?
調子よくいつも通りおちょくってやった。
しかし、それから既読がつくも、何時間経っても返信がこない。
風華
寝落ちたか?とりあえず、お大事にな〜
すると突然、誤魔化すかのように返信が来た。
真莉
大丈夫笑笑
少しだけ疑いつつも、ホッとしたスタンプを送り会話を終了させた。
長年の勘だが、これは何か隠していると見た。
なんだろう、実は癌だったりして…深く考えすぎか。
まあ、一概に癌といっても、ステージが進んでいなければ、命に別状はないケースもあるだろう。
真莉は普段からウィッグでお洒落することだってあるから、万一抗がん剤で毛を剃っても、ポジティブな方向にしか考えないに違いない。

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